その声が思い出せなくて。(tk × in)

ep.29 ページ29

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次の日、


泣きすぎてガンガンする頭を押さえながら





やけに明るい着信音が鳴る携帯の画面を見れば


伊野尾くんのお母さんからだった









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何回か鳴った電話は

でなかった









わざとでなかった。









最初は思い出してくれるよう頑張ればいい


そう考えた





でも、









チャンスかもしれない、って




思ってしまった









俺らの関係は



世間から見たら後ろ指さされる関係だ、









この先俺と一緒に居て辛いことが増えていくかもしれない



必ず幸せにできるなんて保証もない









結婚して子供を作って
幸せな家庭を築いて、





なんてそんなことできない。









俺のことを忘れてるのだとしたら









素敵な女の人に出会って


ごく普通に幸せな家庭を築いた方が伊野尾くんのためになるんじゃないかって、









それに俺がちゃんと見ていれば

伊野尾くんはこんな目に合わなくてすんだんだ



伊野尾くんの人生をめちゃくちゃにしてしまった、









こんな俺が幸せになるなんてこと許されるはずがない、









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『たかきー！』





『好きだよ、雄也』





『もう知らない！！お前なんか嫌いだ！！ばかぎ！！！！』






『やっぱ、たかきじゃないとだめだ、 』






『ん、.. ぁっ、ゆ、ぅや、っ、ぁああ』









大好きな君との思い出を振り返りながら









ポロっと、目からこぼれた1粒の涙と一緒に









心の奥そこに閉まった









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