音駒高校 ページ7
「今日はよろしくお願いします。」
選手達同士が顔を合わせる中、大人達も挨拶をする。
成人済みの私はもちろん、こちら側だ。
貴「よろしくお願いいたします。副コーチの佐々木Aと申します。」
職業病の一種である営業スマイルを決めていく
「…久しぶりに見たな。」
猫又監督が呟く
貴「お久しぶりというか、なんと言いますか…。」
「大人の女性になってるじゃないか。今日のお酌はAだな！」
貴「…酌というより、サシのみの方が楽しめると思いますよ？私、バレーもお酒も強いんで。」
「ハハッ！生意気な小娘は、まだ内側に居たみたいだな。どれ、大人の世界っちゅうもんを教えてやろう。」
「本当に21歳かよ…。おっさんが中に住んでるんじゃないかと思うくらいの会話だな。」
烏養さんは呆れた顔をした
「にしても…どういう風の吹き回しだ。A」
急に真剣な顔になった猫又監督
猫みたいな目つきは相変わらずだ
貴「…ずっと羨ましかった。大学でバレー続けたいと思って全力で走ってた、あの頃の私は家の事情なんて知らなくて。妥協して就職したんだ。
今の仕事は楽しいよ。町内会のバレーも時々行くし、嫌いにならない程度にはやってる。
でも、やっぱり____________
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿________________________嫌いになる程バレーしたかったなって。」
唇を噛み締めながら俯く
少しだけ鼻がツンとした感覚になる
あぁ、ダメだ。泣いてしまいそう。
「やればいいじゃないか」
一瞬で涙が消えた
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作者名：ちなつん | 作成日時：2022年4月29日 18時
