Sweet &Bitter・・・？

ぎこちない距離感 ページ8

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午前の授業を終えて
お昼休みはいつもの場所に向かう。




____調理室




器具を手際よく用意して
オーブンを温める。



その間
材料を計っておく。



カバンから取り出した
おにぎりを食べて
大きく深呼吸。




今日こそは。


うん、今日こそは完成させたい。




慎重に卵を割り
泡立て器のスイッチを入れる。



ボウルに伝わる振動を感じながら
ひたすら右手を動かす。



透明の白身から真っ白のフワフワなメレンゲに変わる


ここからが勝負。


黄身とうまく混ぜ合わせながら生地を作る。




へらの使い方、混ぜ方が一番ムズカシイ



パタパタと力いっぱい混ぜ合わせて
型に流し込む。



オーブンに入れて30分。



じっとオーブンの中を眺めていたら





「そんな暇あるなら片付けたら？」


背後から聞こえた声にビックリして振り返ると
リョウクくんが腕を組みながら立っていた。



ガタン…………


あまりにも驚いたからか
腰が抜けて床にズルズルと座り込む私に



RW「バカなの？」



気付いたら
私の器具を洗い始め
材料を準備し始めた。


私がバカではなければ
シフォンを作り始めたリョウクくん。


ゆっくり立ち上がって
その手付きに釘付けになる。


だって


滑らか、そして力強さ、スピード


三拍子揃っているんだもん。


ピーッとなるオーブンの中に型を入れ
スイッチを入れる。



RW「シフォンなんて飽きた」



飽きた…………って。



出来る人はいいよね。
どうせ簡単なんでしょう？


RW「コンビニ行ってくるから目を離すなよ」


「コンビニ？」


RW「昼ごはん買いに。」


「あっ、、、よかったら。」


私はカバンから
おにぎりとスープジャーを取り出した。


「お口に合うかわからないけど…………」


混ぜご飯と野菜のスープを
そっとテーブルに置いた。



RW「ありがとう」


黙々と食べるリョウクくんを見ないように
器具を洗って片付ける。


調理室に広がる
甘いシフォンの香りと
正反対の私たち。



会話すらない。



あるのは
そこにいるだけ。の空気感だけ。





RW「美味しかった。
梅干し、手作り？」


「あっ、、うん。」


RW「そんなに僕が怖い？(笑)」


「え………あっ、ううん。」



怖いんじゃなく苦手なんだ。

男の人が…………




バタンと立ち上がり
オーブンの蓋を開ける。



RW「ちゃんと見てた？
焦げてるなんてアウト。
やり直し。」



うっすら焦げ目のついたシフォン。

　
なんて不格好なんだろう

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