＊Summer Love 〜ひと夏の恋。本気だったよ、私。〜＊

＊非日常的空間＊ ページ9

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扉を開けて
まず目に入った光景⎯⎯⎯⎯⎯⎯





それは、



大きなビリヤード台がフロアーの真ん中に
置かれていて



台の回りには、
グラスを持ってお酒を飲みながら
楽しむ人たち。





カーンと。





球がぶつかる音。


わぁ〜と言う歓声。




全てが初めてすぎて
緊張で体に力が入る。




イェソンさんの少し後ろに隠れると
そんな私に構いもせずカウンター席に向かう。




「あら、珍し(笑)
女連れなんて………」




そう言って
私の顔をじっと見ながら
微笑む女性⎯⎯⎯





YS「新しい女。」




そして、いつもの。と付け加えた。




「お嬢さんは？」




イェソンさんのアルコールは
紫色で宇宙みたいな感じで
炭酸の泡だけがライトに反射する。



細長いグラスを
キレイな指で触れると


グラスについた唇

上下に動く喉仏





その仕草に見惚れてしまう………………






YS「マミ、アルコールなしで作ってやって」



「フフ、可愛い(笑)」




⎯⎯⎯この人はマミさん。




長い黒髪に
落ちそうなくらいの大きなピアス
マツエクしてカラコンなのか強い目。





猫？豹？




目力の強さに怯んでしまう。





「はい、どうぞ。

あなた、桃って感じだからピーチね(笑)」





イェソンさんと正反対の
可愛いピンク色。



ストローに口をつけると甘い甘い味が
口中に広がる。


　

「イェソンさん…………ここって…………」



YS「見たらわかるだろ。ビリヤード。」



「それくらいわかります…………」



YS「じゃあ、なに？」



「何で………私、ここに…………」



YS「やってみるか？」




イェソンさんは煙草を咥えながら
長いキューを勢いよく突く。


四方の穴に散らばるボールたち。



周りにいた人たちが
興味深そうに見ていた。




私は…………



当然その輪にも入れず
少し離れた場所から見ていた。




YS「来いよ。」



手招きされて
恐る恐る近づく。



YS「適当にやってみな」


そう言ってた渡された
長いキュー。



持ち方、構え方すらわからないのに。



適当って何よ………



私は右手だけで握って
ボールをつついた。



カラン。とゆっくり穴に入ると



YS「斬新〜(笑)」



クスリと笑って
背後から私を抱きしめる。


「ひゃっ、、」


YS「変な声(笑)」



そう言うと
私の手を取り
キューの持ち方や姿勢を
手取り足取り教えてくれた。



こんな近距離なんてムリ。



アルコールと煙草の匂いで酔いかけていた。

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