・ ページ4
・
マンションのエントランスを抜け
エレベーターに乗り込むと
鼻を擽る匂いに体が覚えていた
乗っていたのか。
まだいるのか。
それは目的階に着いて
部屋の前に行けばわかること。
ドアに凭れるように座る人影。
YS「…………おかえり。」
「何の用？」
どうして
『おかえり』って言われて
『ただいま』なんて
応えられるの？
YS「何かあった？」
「別に。」
YS「怒ってんの？」
「別に。」
しゃがんでいたｲｪｿﾝが
急に立ち上がって
無意識に見上げてしまう。
YS「何？言えよ。」
「言うことなんて…………」
YS「あるんだろ？」
こうやって誘導尋問のように
私から聞き出すことが得意なんだから
「じゃあ、言うわよ。
あなたの彼女からメールが届いたの。
言葉にしたくないから
メール、転送するわ。
私……………もう、別れる。
今度こそ本気で。
だから、もう2度と私の前に現れないで。
お幸せに＿＿＿＿」
鍵を開けて
部屋に入ると
そのまま玄関先に座り込んだ。
足音がしないから
扉の向こうにまだいるはず。
だから
私はメールを転送した。
微かに聞こえたメール音。
そして
カツカツと足音が響いて
エレベーターの音が虚しく残った。
私はゴミ袋を手に取り
ｲｪｿﾝの私物を全部捨てた。
玄関先に置いたゴミ袋
右手に嵌めていた指輪も捨てた。
これでいい。
もうサヨナラ。
だけど、
何でだろう……………
気づいたら泣いている私がいた＿＿＿＿＿
泣くなんて私らしくない。
いつものこと。
いつだって
ｲｪｿﾝに振り回されるんだ……………
ゴミ袋を眺めながら
泣いてる私なんて
滑稽過ぎる。
静かな部屋に
響く携帯の音。
ただ無意味に光る携帯
しばらくすると静かになる
誰からか、見なくてもわかるから＿＿＿＿＿＿
『ゴメン、話がしたい』
話すことなんてない。
ｲｪｿﾝに合鍵を渡さなくてよかった。
きっと渡していたら
絶対に戻ってくるはず。
冷蔵庫から
少しだけ強いアルコールを取り出して
キッチンで一人
記憶も過去も忘れたくて
味わうことなく
酔うまで飲んだ。
お酒に頼るなんて
カッコ悪いけど
今は何も考えたくない。
キッチンに無造作に捨てられた缶
「私と一緒だね。」
覚束無い足取りで
寝室に向かうと
そのまま目を閉じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
向日葵(プロフ) - りんさん» りんさん、続編を公開しました。よかったら読みに来て下さいね(*^▽^*) (2018年10月31日 5時) (
レス) id: f3c144f16a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ウホホッ？ザワザワ楽しみです。(*≧∀≦*) (2018年10月22日 5時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - りんさん» りんさん、いつも温かいコメントをありがとうございます(*≧∀≦*)少しずつですが下書きを始めたので公開したら読みに来て下さいね。 (2018年7月28日 4時) (レス) id: f3c144f16a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 向日葵さんありがとう(*≧∀≦*)ざわざわ、ワクワク、ドキドキ、わーい、歳がいもなく、興奮してます。リョウクの過去…気になる非常に(-.-)y-., o O (2018年7月25日 7時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - りんさん» りんさん、ありがとうございます(*≧∀≦*)ありがたいお言葉に続編に繋げますね！公開までしばらくお待ち下さい♪ (2018年7月25日 6時) (レス) id: f3c144f16a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：向日葵
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/sjkorabolist01/
作成日時：2017年11月14日 6時
