＊5＊ ページ5
・
あてもなく家を飛び出したが、よくよく考えたらヌナの家なんて知らない
僕が知っているのは名前と携帯の番号だけ。
仕方なく家に戻るとリビングで、アルバムを見ながら涙する母に
「また、泣いてんの？
みんな、ヒョンのことばっかり…
僕はここだよ？ちゃんといるんだよ！」
勢いで口から出そうな言葉をぐっと飲み込んで
自分の部屋に逃げた
ヒョンがいなくなって、みんな崩れてしまった
もう泣かない。
そう決めたのに胸の奥を締め付けられるような感情にギュっと目を閉じてしばらく眠りについた
枕元の携帯が小さく振動して、ふと目を覚ます
「誰だろう……？」
名前も見ずに電話に出ると、間違い電話だと疑うようなヌナの声だった
「もしもーし？あれ？リョウクくん？」
自分からかけてきたクセに、僕の声を聞いて驚いている
「ヌナ…どうしたの？今、どこ？」
後ろから聞こえる音に耳を澄ませると
「ねー。お酒飲める？一人じゃ寂しいよー。来てよー。」
電話の向こうでケラケラ笑ってるし。
きっと酔ってる。
僕は場所を聞いて一目散に駆けつけた。
入り口のドアを開けると、カウンター席の一番奥にポツンと座るヌナを見つけた
隣に座ると、ゆっくり振り向いたヌナが
「あれ？なんで……？」
って聞くから
「酔っ払いヌナ！！帰るよ！」
荷物を持って外に出た
「うわぁ、涼しいねー。」
ひんやりした風に喜ぶヌナの顔が切なくて、
「ほらっ、まっすぐ歩いて！」
強引に手を握って、フラフラ千鳥足のヌナを近くの公園のベンチに座らせ、隣に腰を降ろした
そっとヌナの横顔を見ると、お酒のせいか頬が赤くて、目も潤んでいる
「リョウクくん………………」
小さくて消えそうな声を必死で聞き取ると
「あのね、もう………疲れちゃった。」
一言だけ呟いて、急に歩き出した。
着いたのは、滑り台。
カンカンカン…………
ヒールの音を響かせ階段を登ると
「手を伸ばしたら届くかな？」
一生懸命背伸びして、ヒョンがいる空に手を伸ばす
「会いたいな…………」
そう言って滑り降りたヌナ
後ろ姿が、あの廊下で見た背中と重なって
追いかけるように滑ると、そっと後ろからヌナを抱きしめた
ビクンと体に力が入ったヌナ。
「リョウク……くん…」
「ヌナ、泣きたかったら泣きなよ。僕が受け止めてあげる。だからガマンしないで。」
震え出した体を、もう一度包み込んだ。
きっと泣いてる。
うん、泣けばいい。
僕がいるから…………
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
向日葵(プロフ) - manmaruuさん» コメントありがとうございます(*^_^*)完結した作品を読んでコメントをもらえるとすごく嬉しいです♪リョウクの魅力が伝わりましたか？またよければ他の作品も読んで下さいね( *´艸｀) (2019年11月3日 5時) (
レス) id: fc49dfefaf (このIDを非表示/違反報告)
manmaruu(プロフ) - こんにちは！こちらのリョウクくんにも蕩けさせられました(//∇//)とっても面白かったです(^^)！ありがとうございました！！ (2019年11月2日 10時) (レス) id: 786210485f (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさん、大満足だなんて…嬉しい！いつか、まゆまゆさんがもっとお腹いっぱいになるようなりょくちゃんを書きたいなー(笑)いつもコメントありがとうございます！ (2016年2月13日 21時) (レス) id: 595a038cb0 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 最後は大好物のナムジャリョウクで大満足です。ありがとうございました。 (2016年2月13日 10時) (レス) id: ed4a5e3eae (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - みうさん» ドキドキしてもらえて嬉しいです！一番幸せな言葉です。次の話も着々と進んでいます。よかったら、またお付き合い下さいね！ (2015年12月3日 21時) (レス) id: 595a038cb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：向日葵
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/sjkorabolist01/
作成日時：2015年10月4日 11時
