ヌナから彼女に変わるまで

動き始めた気持ち… ページ11

リョウクくんが「泣いていいよ」って言うから

こんなに優しい言葉をかけてもらえたことが嬉しくて…

何か自分の気持ちがコントロールできない…

意地っ張りだから泣いているのが恥ずかしくて、必死でガマンしてるのに、となりに座るリョウクくんが私の髪の毛をゆっくり撫でてくれて、歌を口ずさんでくれる。

何の曲…？伸びやかなリョウクくんの歌声が染み渡る…
気づいたら心地よくて目を閉じてた。

＊‐＊‐＊‐＊‐＊‐＊‐＊‐＊‐＊‐＊‐＊
僕は自分の曲を歌ったんだ。
歌手として、歌を届ける立場として、ヌナを好きな一人の男として…

気づいたら、ヌナは目を閉じていて、微かに寝息が聞こえる。
そっとソファーに寝かせ、近くにあったブランケットをかける。

リビングだけじゃなく、キレイに片付けてあるヌナの部屋。
アロマやキャンドルが並べてあって、大人の女性らしい。
ベランダの小窓に写真が並べてあった。

あっ、ヌナと子どもたち？
多分、幼稚園で撮ったのかな？
僕が知らないヌナの顔。
写真立てには
「Aせんせい、だーいすき」
って書いてある。

「僕だって、好きなんだから！」
写真立ての子どもたちに呟いた。

かわいいエプロンをして、髪の毛を結んでいるヌナ。

はぁ、僕はまだまだヌナのこと知らない…

もう一度、ソファーに戻り、ヌナの横に座る。そっと手を握った。
寝ているからか、お酒を飲んだからか暖かい手。
頬には涙の跡…

無意識に頬を触ると、ヌナの眉がピクンと動く。
無防備すぎるよ…

キス…したくなる。

してもいい…？

朝まで一緒にいていい？→←泣いた理由…

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す