【d！】悪魔に取り憑かれた系幼女lll (ページ11)

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少女と書記長ページ11

コンコン、と控えめに扉をノックした。扉の向こうから疲れたようなどうぞ、と言う声が聞こえて失礼します、となるべく小さい声で言って中へとゆっくり足を踏み入れた。

『トン兄様…？Aです。』

tn「A？A、おるんか？早よ、早うこっち来てぇや。」

暗い部屋の中をトン兄様の声を頼りに歩く。目の前に茶色の執務机が出てきたのを見てもう近いな、と思いながらその机の周りを歩いて黒い椅子まで近付いた。

『トン兄様、トン兄様。』

tn「！A、Aっ！よかった、ちゃんとおった…」

トン兄様は私を見てぎゅう、と抱き締めるとそのまま膝の上に座らせた。私の名前を呼びながら抱き締めているトン兄様の頭を優しく撫でているとふっ、と顔を上げてあれ、と首を傾げた。

tn「あ、俺…何しとったんや？」

『おはよう御座いますトン兄様。"発作"がおきていたんですよ。』

tn「あぁ…すまんな、A。」

『いえ。疲れていたんでしょう。書類、お手伝いしますよ』

トン兄様はこの国の書記長様で書類仕事が大変多い。そのせいか疲れが溜まったりストレスが増えたりすると今回みたいな"発作"が起きることがある。発作は私を求めては存在を確認して安堵する。ただそれだけ。でもそれは一種の依存のようで中々治らない。

『(でも、私はそれでも構わない。)』

例えトン兄様に依存されてようが何されようが別に構わない。それでグルにぃの役に立てるなら私はそれでいいから。

tn side
あぁ今日も優しくて可愛ええA。こんな"演技"でもせぇへんと俺の元へは来てくれへんけどそれでもいい。こんなにも彼女が愛おしいから。

『ん、と。これは…？あぁシャオ兄様とコネ兄様と鬱兄様がサボったやつですね。まったく…』

書類をその小さな手で捌きながら呟くA。横顔もほんまに可愛ええなぁ…。真剣な顔も心配そうな顔も全部全部可愛くて可愛くて。演技だと彼女は分かっているかもしれない。俺の事なんて眼中に無いって分かっとる。Aはグルさんしか見とらんって。でも

「なぁA？」

『？どうされました？』

「好きやで。」

『…ありがとうございます。トン兄様。…私もですよ。』

こうやって笑顔で返してくれるんやったら俺はそれでええ。Aがこの世に存在してくれてるんやったらそれでええ。俺はAに"依存"しているから。

トントン書記長
過保護から依存へ。然し過保護は今でも健在。