アイドルになるその前の話。【3】

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パパのお葬式から、1ヶ月経った頃。



その頃にはもう、いろんなことが落ち着いてきていて、



忙しくしていたママも、ひと段落できたみたいだった。



ぽっかり穴が開いてしまったような感覚で、しばらくは何をしていても身が入らなかった私だけれど、



ママも、煎じくんも気にかけてくれて、



ようやく前の生活に戻れている。




でもやっぱり、相変わらずママと2人きりの晩御飯は、どこか寂しい。



テレビをつけて、少しだけ音量を大きめに上げて、食事をとるようになった。




その日ついていたテレビは、日曜8時の人気番組。




賑やかなバラエティーとは反対に、ママの顔は、少し曇っている。




A「どうかしたの…？」




私は深妙なママの表情に、思わずテレビの音量を消音にした。




母「私、今非常勤で働いてるでしょう？」




しばらく話し出しそうにはしたけれど、ママはようやく口を開く。




母「非常勤だと…どうしても毎月キツくなっちゃって…」



キツイ。というのは、家計のことなんだろう。




A「私、バイトしようか…？」




母「違うの！そうじゃなくてね。…正社員として、働けるように転職先を探してたの、企業に雇ってもらうカウンセラーなんだけど。」




企業が看護師やカウンセラーを雇い、社員の健康を守るシステムがあると、





そういえばニュースでやっていたのを思い出す。




母「雇ってもらえたのが、大阪の企業なの。」




頭の中は、ママの言葉で真っ白になった。

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