【 56 】二番煎じside ページ6
鈴奈にはお母さんがいない。
いないというよりは、亡くなっている。
ドラマみたいな話だけれど、鈴奈を出産する時に命を落としたらしい。
幸いと言ったらなんだけれど、その時にはちゃんと鈴奈は乳児だけで生きていけるほど大きくはなっていた。
母親の命と引き換えに、自分は生まれてきたんだ。という意識がずっと鈴奈の中にはあり、そのことを俺にポツリポツリと話してくれたこともある。
明るい彼女はそのことを、自分の生きる意味として捉えて、前向きに生きていた。
母親のいなくなった鈴奈に、かけてしまった母親という大きな存在の分も愛情を注いでいた父親。
不動産会社に働いていて、いつも忙しそうにしていたけれど、弱音は一切吐かずに、笑顔を絶やさない人だった。
そんな父親がそばにいたから、鈴奈も明るくいられた。
俺も小さな頃は、川に連れて行ってもらったり、ゲームを教えてもらったりして、よく遊んでもらった記憶がある。
母親が自分の出産で命を落としたという事実を、自分の生きる価値として捉えていられた鈴奈も、
大好きな父親が死んだことで、変わってしまった。
鈴奈の父親は、俺と鈴奈が海で遊んでいる時、深いところで溺れた俺を助けて、亡くなった。
…ということになっている。鈴奈の中では。
本当は鈴奈が沖で溺れたんだ。
今まで前向きにとらえようと頑張っていた分、大好きな父親の死から一変し、母も父も自分が殺したと考えるようになってしまった。
大きすぎるショックから、記憶を都合のいいように作り変え、俺が溺れたことにしている。
…そうでもしないと、自分を保っていられなかったんだろう。
そのことを俺もわかっているから、否定することもできなくて。
自分の親以外には、本当のことを伝えていない。
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なんか二番煎じさんの実況の二番煎じですね…すいません。
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もも(プロフ) - いつも楽しみにしながら読んでます!!!いつまでも読み続けます!!!!!!!!!!! (2016年8月3日 1時) (レス) id: c42a6310b9 (このIDを非表示/違反報告)
琴乃 - いつも見させてもらってます!これからも頑張ってください! (2016年8月2日 19時) (レス) id: 169b7c25bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃmm。 | 作成日時:2016年7月25日 13時