【 65 】二番煎じside ページ15
煎「あのさ…もっかい言うけど、俺彼女がいるんだ。」
鈴奈の顔がみるみる強張っていく。
鈴「だったら何…さっさと別れてって言ったじゃない!!」
…鈴奈は孤独なんだ。それはわかってる。
でもこのままでいても、鈴奈はこのループから抜け出せない。
煎「俺も、毎回こうやって呼び出されたりするほど暇じゃないってこと。」
そう吐き捨てて部屋を出ようとした。もう、
Aに黙ってちゃだめだ。これ以上エスカレートして、Aが危険になる前に、伝えないと。
俺はAと別れるつもりなんて一切ないんだから。
ドアを勢いよく開けた。
その時、黙って鈴奈は後ろから抱きついてきた。
煎「…離れろ。」
鈴奈を振り払うけれど、あいつは何も言わなかった。
その瞬間、鈴奈は俺を押し倒して俺の上に馬乗りになる。
鈴奈は俺にキスをした。
煎「おまえ…なにして/
鈴奈の顔は、もう10年前に失ってしまった笑顔を一瞬だけ見せてくれた。
ポロポロと涙をこぼしながら。
でも、俺には大切な人がいる。
あの頃の面影を残した表情は、みるみるうちにいつもの顔に戻り、
鈴「…煎じは私から離れられないよ。だって、私を1人にしたのは、煎じでしょ。」
そう言った。
俺は昔、鈴奈が記憶を書き換え、自らではなく、俺のせいで父が死んだと思っていることを否定できなかった。
やつれていく彼女を目の前に、実は鈴奈を助けようとしてお父さんは死んだんだ。なんて言えなかった。
けれど、小学校の高学年の時、周りに人殺しと囃し立てられたことがあって、鈴奈はそれを見て
「煎じを責めないで」なんていって納めてた。
でも俺は、「何が責めないで、だ。おまえのせいだろ。俺が苦しんでるのも、お父さんが死んだのも。」そう思ってしまっていた。口には出さなかったけど。
本当に、嫌な奴だなと思う。
いろんな思い出が頭を巡り、下手なこと言ってしまう前に、家から出た。
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もも(プロフ) - いつも楽しみにしながら読んでます!!!いつまでも読み続けます!!!!!!!!!!! (2016年8月3日 1時) (レス) id: c42a6310b9 (このIDを非表示/違反報告)
琴乃 - いつも見させてもらってます!これからも頑張ってください! (2016年8月2日 19時) (レス) id: 169b7c25bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃmm。 | 作成日時:2016年7月25日 13時