検索窓
今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:26,118 hit

【 65 】二番煎じside ページ15

煎「あのさ…もっかい言うけど、俺彼女がいるんだ。」



鈴奈の顔がみるみる強張っていく。



鈴「だったら何…さっさと別れてって言ったじゃない!!」



…鈴奈は孤独なんだ。それはわかってる。
でもこのままでいても、鈴奈はこのループから抜け出せない。



煎「俺も、毎回こうやって呼び出されたりするほど暇じゃないってこと。」



そう吐き捨てて部屋を出ようとした。もう、
Aに黙ってちゃだめだ。これ以上エスカレートして、Aが危険になる前に、伝えないと。



俺はAと別れるつもりなんて一切ないんだから。



ドアを勢いよく開けた。



その時、黙って鈴奈は後ろから抱きついてきた。



煎「…離れろ。」



鈴奈を振り払うけれど、あいつは何も言わなかった。



その瞬間、鈴奈は俺を押し倒して俺の上に馬乗りになる。



鈴奈は俺にキスをした。



煎「おまえ…なにして/



鈴奈の顔は、もう10年前に失ってしまった笑顔を一瞬だけ見せてくれた。



ポロポロと涙をこぼしながら。



でも、俺には大切な人がいる。



あの頃の面影を残した表情は、みるみるうちにいつもの顔に戻り、



鈴「…煎じは私から離れられないよ。だって、私を1人にしたのは、煎じでしょ。」



そう言った。



俺は昔、鈴奈が記憶を書き換え、自らではなく、俺のせいで父が死んだと思っていることを否定できなかった。



やつれていく彼女を目の前に、実は鈴奈を助けようとしてお父さんは死んだんだ。なんて言えなかった。



けれど、小学校の高学年の時、周りに人殺しと囃し立てられたことがあって、鈴奈はそれを見て

「煎じを責めないで」なんていって納めてた。



でも俺は、「何が責めないで、だ。おまえのせいだろ。俺が苦しんでるのも、お父さんが死んだのも。」そう思ってしまっていた。口には出さなかったけど。


本当に、嫌な奴だなと思う。



いろんな思い出が頭を巡り、下手なこと言ってしまう前に、家から出た。

【 66 】二番煎じside→←【 64 】二番煎じ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
60人がお気に入り
設定タグ:むすめん。 , 二番煎じ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

もも(プロフ) - いつも楽しみにしながら読んでます!!!いつまでも読み続けます!!!!!!!!!!! (2016年8月3日 1時) (レス) id: c42a6310b9 (このIDを非表示/違反報告)
琴乃 - いつも見させてもらってます!これからも頑張ってください! (2016年8月2日 19時) (レス) id: 169b7c25bf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちぃmm。 | 作成日時:2016年7月25日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。