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◎343 ページ45

◎ALEX




無事に日本ツアーが終わった。

プライベートジェットに乗るため、空港をルーカスと歩く。
カメラは俺たちではなく、その後ろへ一斉にフラッシュを炊く。

仮面をつけたAの隣には、当たり前のようにその肩を抱く仮面をつけたジョッシュ。
その当たり前さに違和感がないのが凄い。
Unnamedの彼氏はカメラ前に慣れすぎているのでは?と言われるほど…。
アイツの仕事上、カメラ前に慣れてるよな。

ふと、何かをUnnamedに囁くジョッシュ。
頷いて、彼女は、少し笑って、カメラに向けて手を振った。
彼はマスコミを喜ばせるのが上手いみたいだ。
Unnamedはカメラの前で、笑う、口元に笑みを浮かべるのも珍しいし、カメラに向けて手を振るのも珍しい。
彼氏が傍に居るから、そうしたのなら、彼氏に対するマスコミの印象は良くなるだろう。

「なんだかな。流石だよな」

チラリとルーカスを見れば、呆れ顔で彼は呟く。

「まぁ、仕事柄そうなんだろうけどな。」

そう言いながら、俺達はゲートを潜った。
Unnamedの連絡先を欲しがるエンタメ業界人、アーティストは多く、正体不詳だが、彼女がスタイルが良いことは、周知の事実で。
その仮面の下が気になる人間は多くいる。
絶世の美女だとか、目も当てられないくらいブスだとか…。
Unnamedを知る人間はブスと言われると眉を顰めるが、当の本人Aは全く気にしていない。
ブスと言われるより、プライベートが潰されることのほうが嫌なんだとさ。

本当、あの子は、不思議だ。


「ジス、本当にアレでいいの?」

「うん、みんな喜んでたし、大丈夫。」

「本当?」

二人が飛行機に乗ってくる。
なんだか、不満げなAに、ニコニコしているジョッシュ。

「まぁ、やりすぎでもないし、大丈夫だろ。」

ルーカスがそう彼女に言えば、首を傾げるA。

「少し笑って、手を振ったら喜ぶの?変なの。」

Aは、そう呟いて、仮面を外した。
仮面の下の顔。
普通に、エンタメ業界に居る女子よりずっと可愛いと思うんだけどなぁ。

「A、ツアーお疲れ様。」

仮面を外しながら、言うジョッシュ。
コイツもイケメンなんだよな〜。

「うん、ジスもお疲れ様」

二人はそう言いながら、席へと歩いていく。

ジョッシュの仕事柄、仮面が外せないのは仕方ないにしても、Aの仮面は外さないのかな…。
本人、外す気はなさそうだが…。




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作者名:ちな | 作成日時:2022年8月20日 0時

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