▼332-1 ページ32
▼
隠し事は良くない。
隠し事がバレた時、信用や信頼をなくすし、僕はAに対して誠実で居たいし、嘘は付きたくない。
だから、彼女には隠し事をしちゃいけないって思うんだけど、本当のことを全部話して、最悪、嫌われたら、どうしよう。って思うんだ。
Aに嫌いって言われたら、生きていけないよ。
どうしよう?
そんなことを考えていたのが悪かったのか…。
「…ジス、」
Aに名前を呼ばれた。
いつもなら、とても嬉しいし、幸せなこと、なんだけど…。
今は…聞こえないふりしちゃおうかな。
「ジス?」
Oh〜、No〜、やっぱり無理!
結局、僕は自分の欲望に勝てず、Aに抱きついた。
聞こえないふり、とか無理だし。
二人きりで、名前を呼ばれたら、もうね、不可避。
彼女に触れないなんて、そんなことできない。
「ジス、私に話すこと、あるよね?」
腕の中にいるAに言われる。
もしかして、バレてる?
話さなくても、知っちゃってる感じ?
「ジス?」
「ごめんなさい。」
誤魔化せないから、素直に謝る。
彼女に触れながら、そう言えば、
「ジス、何が、ごめんなさいなの?」
冷静なAの声。
怒ってる?
チラリと彼女を見れば、無表情で僕を見ていた。
「あの、えっと、」
"Aのママから貰ったAの幼少期の写真をこっそりアルバムにして、持ってる事?"
"それとも、Aの寝顔写真をこっそりアルバムにして、持ってる事かな?"
僕はそう呟いていたらしい。
Aは額に手を置いて、
「また、貴方はそんなことをしていたのね。」
と呟いている。
あ、呆れられた?
「ソレじゃない。」
と一言呟いたA。
…
480人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちな | 作成日時:2022年8月20日 0時