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兄が韓国に来た。
なんだかんだと兄がいると安心する。
ジスとは違う安心感。
事務所の廊下を兄と歩いていると、
「あ、ほら、ジョッシュだ。」
そう言われて、兄の視線の先を見れば、ジスが壁に隠れながら、こちらを見ていた。
隠れきれてないし、なんか体がはみ出てるし。
「アレで隠れてるつもりなのか？アイツ、かくれんぼ下手だな。」
と呟く兄。
アレは、多分、隠れてるつもりじゃないよ。
「ジス？」
そう声をかければ、凄い勢いで私に抱きついてきた彼。
仰け反りそうになり、兄が私の背を支える。
「ジョッシュ、危ない。」
と言う兄の言葉は、まるっと無視したジスは、
「Aが僕以外の男と並んで歩くなんて、目に毒だ！」
ぶつぶつと呟いている。
「ジス？お仕事は？」
そう聞けば、速攻で、
「休憩中」
と返事が来た。
さて、コレどうしよう？
「ここが安全とは言え、A、ジョッシュ、甘やかしすぎだな。」
ぽんと私の頭に手を置いて言う兄。
私もほんの少しそう思った。
「ジスは、外ではちゃんと我慢してるから…。」
とりあえず、そう言えば、
「まぁ、そうか。ちゃんと我慢してるのか、偉いな、ジョッシュ。」
そう声をかける兄に、ジスは眉を寄せ、
「僕は馬鹿にされてる？」
そう言った。
「ふ、俺はAと堂々と、デート出来るからな。」
笑って告げる兄の言葉に、ジスは兄を睨みつけ、
「…ルーカス、」
と呟く。
「もう、ルーカス、ジスに意地悪しないで。ジスもほら、休憩終わりだって、お迎え来てるよ。」
そう二人に言う。
何か言いたげのディノがこちらに歩いてきていた。
"休憩終わり" の言葉にジスの腕に力がこもる。
「ジス、お家で待ってるから、頑張ってね。」
そう言えば、彼は渋々私から離れてディノとダンスレッスン室に戻っていった。
「ジョッシュ、なかなか面白いな。」
呟く兄。
「ジス、可愛いでしょ？」
「可愛い？…それはよくわからない。」
首を傾げる兄に笑う。
他人に厳しい兄がジスのこと、認めてるでしょ？
兄だってジスを可愛がってるじゃない。
ジスのためにダンスレッスン室作っちゃうんだし、さ。
ジスたちに使ってもらえてよかったね。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2022年8月20日 0時
