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ルーカスがこっちに来た日。
彼女に挨拶のキスをしたり、仲良く話す姿に嫉妬した。
血の繋がりのある兄妹だし、心が狭いと自分でも、思うんだ。
「Aは、僕の最愛の人だよ。
だから、例え兄だろうと、触っちゃだめ。
Aに触れていいのは僕だけ。
挨拶だとしても、頬にキスはダメダメ。」
そう、彼女を抱きしめて主張すれば、
「ジスは我儘だなぁ。」
なんて言いながら、Aは笑った。
我儘でも、仕方ないじゃないか。
Aに誰かが触れるのは嫌なんだもの。
相手が誰であれ、嫉妬しちゃうんだ。
彼女をぎゅうぎゅう抱きしめて、口に出さずに思う。
「私もジスが私以外の人とベタベタしていたら嫌だなぁ。」
ふと、そう呟く彼女に全部持っていかれる。
"A"がそう思ってくれることに価値がある。
彼女に愛されてる、と実感できる。
惚れ込んでもらおう作戦は、着実に進行しているね。
「僕はA以外に触れたいと思わないから、大丈夫。」
そう言えば、
「ジス、家族はノーカウントでお願いしたいな。」
上目遣いでAに言われた。
Noとは言えないよね。
「わかった。」
そう言って彼女にキスをした。
ルーカスは、シスコンだけど、Aの幸せを願う健全なシスコンだから、仕方ない、我慢しなきゃね。
▽
「あれ？知らなかった。ルーカスは、ジョッシュを気に入っているんだよ？」
アンチームのスタッフに言われた。
「え、」
「ルーカスがシスコンだって言ってもさ。普通、ルーカスやUnnamedに全く関係ない奴に手を出すわけ無いじゃん。」
「ルーカスは、アレが"ジョッシュ"に仕掛けてきたから、遠回しに潰したんだよ。」
スタッフは、苦笑いして、言う。
彼ら曰く、僕に仕掛けてきた"アジアの歌姫"とかいう人とその事務所に直接制裁ができないから、理由を仄めかして、彼らが関わるすべてのアジアでの仕事をストップさせていたらしい。
すべて、って。
「まぁ、アジアの仕事なくても、うちは"世界のルーカス"と"世界の歌姫"だからね。」
あははって笑うスタッフ達に、苦笑いを返した。
トップがアレだと部下も図太くなるのかな？
なんだか、思っていたより、ルーカスもAも凄いのかな。
まぁ、ルーカスが凄くても、関係ないけど。
僕のAは誰にも渡さない。
ルーカスは…ほんのちょっとは、義兄として、慕ってあげても良いかもね。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2022年8月20日 0時
