◎324 ページ24
◎ALEX
正直、曲者はどんな業界にもいるわけで。
訓練を受けた護衛の俺やリサのような人間でも太刀打ちできない人間というものは居るんだよな。
SEVENTEENは、世界中から、注目を浴びた。
だから、曲者に目をつけられる機会も増えたわけだけど…。
情報がAまで上がっていたのは、見落としていた。
誰だ、コイツに情報流したの。
SEVENTEENの事務所の応接室。
世界最高峰企業の御曹司で青年実業家のヴィクターが、SEVENTEENに仕事と言う名の嫌がらせをしに来た。
社長不在の中、慌てる事務所スタッフの変わりに応接室に入ったのはAで…。
「なんで貴女がここにいるんだ？」
ヴィクターはAを見て、まず聞いた。
「居ると思わなかった？」
普段ふわふわしているが、こう言う時のAは強い。
ヴィクターの前のソファに腰掛けて、彼女は笑う。
「…」
「ルーカスの"お気に入りだ"と公表したじゃない。その意味、わかるよね？」
「まぁ、」
「ヴィク、貴方が邪魔していい子達じゃない。わかるよね？」
ニコニコしながら言うA。
業界屈指の実業家のヴィクターも彼女には敵わない。
ヴィクターは悔しげに唇を噛んだ。
彼はSEVENTEENがルーカスのお気に入りだから、ちょっと意地悪をしてやろう、なんて気分で乗り込んできたに違いない。
「Aも、お気に入りなのか？」
苦しげに言う彼に、Aは、驚いた顔をしたあと、
「さぁ？どうだろ。」
と答えた。
ヴィクターはAに懸想している。
ルーカスに突っかかるのも、Aがルーカスの懐刀だからだ。
「チッ、Aがそっちに居るなら諦める。」
そう呟いてヴィクターは、部屋を出ていった。
「さて、後始末は、アレックスお願いね。」
そう俺に言い、彼女はソファを立つ。
「ジョッシュに会ってく？」
リサがAに声をかけるが、Aは首を横に振る。
「邪魔になると、悪いから帰る。」
そう言いながら、スマホを取り出す彼女。
ルーカスに報告をあげ、Aは、リサと帰っていった。
仕事ができ、ルーカスの懐刀、それが世界の実業家達のAに対する評価だ。
ルーカス自体は表向き音楽プロデューサーだが、片手間に様々なことをやっているから、実業家でもある。
他の実業家や老舗企業の狸爺達は、実は彼女を狙っている。
彼女を自分達側につけたいと虎視眈々と狙っているのだ。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2022年8月20日 0時
