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◎LISA
応接室の椅子にAは堂々と座っていた。
「彼は"断った"って話していたの。」
コテンと首を傾げるA。
この場にはそぐわないが、可愛い。
「本人が断っているのに、何故、報道が出たのでしょうか？」
アレックスは目の前の男をじっと見つめて話しかける。
久方ぶりにアレックスがよそ行きモードね。
「"彼"はうちのルーカスの"お気に入り"だから、"彼"の意に沿わないことがあれば、ルーカスのご機嫌も悪くなるねぇ。ねぇ、貴方、責任とれるの？」
Aがニコリと冷笑を浮かべて言った。
ガタガタと震えだす目の前の男。
これでも、韓国有数の出版社の社長なのよね。
何十も年下のAに対して、震えちゃうのね。
まあ、彼女の冷笑の前だと私達でさえ、チビッちゃうけど。
「お話にならない。後はアレックス、貴方に任せるね。」
すっと椅子から立ち上がるA。
「あっ、そのっ」
慌てて、Aに声をかけようとする社長に、
「そうそう、"Unnamed"も、SEVENTEENを気に入っているの。"彼ら"の意に沿わないことがあったのなら、ご機嫌が悪くなるわ。彼女は、ルーカスより気難しいから、韓国に来なくなるかもね。」
そう、独り言のように呟いて、Aは部屋を出ていく。
私はそんな彼女を追う。
部屋の中にはアレックスが残され、
「さて、貴方はどう責任をとりますか？」
席につくアレックスは、そう話し出していた。
▽
「A、怒ってる？」
隣に並んで歩きながら聞けば、彼女は、不思議そうに私を見た。
「なにを？」
「ジョッシュの報道…」
「怒ってないけど…」
そう言いつつ、眉を寄せる彼女。
待たせていた車に乗り込む。
「ジスが心配かな。」
ため息をついて、そう呟くA。
そうね、貴女はいつも彼の心配ばかりね。
ただね、報道が出た時の貴女の第一声を私は覚えているわ。
「コレは私に喧嘩を売っているのかな？」
そう呟いた貴女は誰より怖かったわ。
普段、ニコニコしている人が怒ると怖いのよね。
「"チェリー"だっけ？ちょっと、おいたが過ぎるよね。ルーカス案件かな。」
ふと、窓の外を見ながら呟くA。
人の名前を、最低限しか覚えないAが、覚えたの？
ルーカス案件って、本気で潰す気なの？
「A？」
「私の大切なジスを動揺させるなんて…。
居なくなっちゃえばいい。」
「っ、」
この子を、本気で怒らせちゃダメね。
と、とりあえず、ルーカス案件で！
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2022年8月20日 0時
