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◎チェリー
欲しいものは、どんな手を使っても、すべて手に入れてきた。
なのに、今、手に入らないものがある。
「断られた？」
「はい。」
マネージャーの言葉に手に持っていたカップを投げつける。
「そこをなんとかするのが、貴方の仕事でしょう？」
怒鳴り付けても、彼は首を横に振る。
「違うとこならまだしも、あそこはダメです。」
マネージャーは、私をまっすぐに見て言う。
「そんなこと…」
「ダメなんです。後ろについてるのが、うちより大きい。」
「うちより、大きいって…？」
「"世界で"活躍する人がついてます。」
「そんなの、」
「こっちが潰されます。諦めてください。」
マネージャーは、そう告げて、部屋を出ていった。
何よ、それ。
私は、アジア、トップ歌手なのよ？
歌姫は私のためにある言葉、なのに。
なんで？
私より上の存在がついてるってこと？
誰よ？
彼は私のために、トップアイドルになったはずでしょう？
なんで私との匂わせを断るの？
匂わせじゃなくても、本気で付き合ってあげてもいいって思っていたのに…。
SEVENTEENのバッグに付いてるのは、誰なの？
彼は、ジョシュアは、浮いた話も、匂わせもない、完璧な王子様だわ。
彼を見た時、欲しいと思ったの。
完璧な彼こそ、私の隣に相応しい。
私はアジアトップよ。
負けるわけないわ。
スマホを取り出して、電話する。
「ねぇ、オッパ。お願いがあるの。」
私は知らなかった。
彼のバックについているのが、あの人達だって。
私は知らなかった。
一切そんな存在を悟らせない彼に最愛の人が居るなんて、思いもしなかった。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2022年8月20日 0時
