◎590 ページ50
◎リウ
従姉妹が体調を崩したらしい。
いつも鬱陶しいくらい従姉妹の傍にいる彼氏は泊まりの仕事で不在だとか。
なにからなにまで珍しい。
アイツならば、仕事なんて放って従姉妹の傍に居そうなのに…。
そんな事を考えながら、彼女の韓国での自宅へと行った。
ドアベルを鳴らせば、
「リウ、久しぶり。」
とパジャマ姿で額に何かを貼った病人スタイルの従姉妹がドアを開けてくれた。
「久しぶりA。夏風邪だって？」
そう言いながら、彼女のすべすべの頬を触る。
従姉妹だから、つい癖で彼女に触れてしまう。
Aは目を細めて、
「うん。油断したぁ。」
と照れ笑いをする。
従姉妹の贔屓目なしでAはやっぱり可愛いなぁ。
ジョシュアが居る時は絶対できないな。なんて思いながら、彼女と久方ぶりのハグをした。
ハグは本国では挨拶だし？
でも…A、いい匂いする。
「リウ、コッチ」
そうAに言われて、いつまでも玄関に居るのは良くないよなと、彼女について行く。
リビングに通され、Aは俺にコーヒーを出した。
「リウが韓国に来るなんて珍しいね。」
「日本でゲームイベントがあるからね。」
「ついで…か。」
小さく呟くA。
そんな彼女に言うつもりがなかった本心が漏れた。
「うん、ゲームイベントがついで、だけどね？」
ついでは、イベントの方なんだよ。
素で言ってしまってから、ハッとする。
「え？」
「ルーカスが、心配してたから…」
慌ててそう言い訳をすれば、
「リウも心配してくれたんだ。ありがと。」
とAに言われてしまった。
まったく。
気づかなくて良いトコ、気づくんだから。
「Aが体調崩すなんて珍しいから…大丈夫なの？」
「うん、もう大丈夫。今は熱下がったし。」
「そっか。なら、良かった。」
Aの手を煩わすジョシュアが居ないから回復早かったのかな？
ジョシュアは一週間の宿泊仕事らしい。
「アイツ、よく仕事へ行ったね？」
「うん。決まった日程があるのになんか早めに帰るとかよくわからないこと言ってたけど…」
「ソレ、早めに帰ってきそうだな。」
「うん、でも、メンバー居るし、多分大丈夫なはず…リウは下に泊まるんでしょ？」
ニコニコと話すAだけど、本当に早めに帰ってきそうで、怖いな。
「あぁ、ルーカスがルーカスの部屋使えって…。」
「そっか。」
今後の自分の予定をAに話しつつ、ジョシュアが帰ってくる前に日本に移動しようと考えた。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年4月14日 7時
