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◎RM
ジョングクがここまで頑なだなんて思わなかった。
彼女は流石世界の歌姫で、アーティストとして素晴らしい。
好感を持てる人柄で、韓国の業界人にはいないタイプでもある。
今までそばに居ないタイプだから、嵌ったのか、ジョングクの執着は凄いもので…。
ヒョンが作ってくれた彼女との話し合いを経て、いろんな女性と付き合ったりしていたから、諦めたもんだと思っていた。
男を磨くために、多くの女性と付き合っていただなんて、思いもしなかった。
彼女は綺麗で可愛い優しい子だけど、彼女のバッグにはルーカスがいるわけで…。
ジョシュアに手を出そうとしたアジアの歌姫が潰されたのは記憶に新しい。
ジョシュアと彼女は、ヒョンの話によれば、大変仲が良いらしく、
「あれは、"触るな危険"だ」
と。
確かに仲の良い恋人達の邪魔をすることほど無粋なことはない。
彼女もルーカスも基本細かいことは気にしない。
ジョシュアにちょっかいをかけなければ、だが。
「俺と彼女はベクトルが違う方向を向いているだけなんだ。」
そう呟くジョングクは俯いた。
今の時点でベクトルが違う方向を向いていたら交わらないだろうに…。
「グガ、お前は愛する人を悲しませたいのか？」
そう聞いたら、弾かれたように顔を上げる彼。
「彼女は今、彼氏と付き合って幸せなんだよ？そこにお前が入る隙はないし、お前が入るってことは少なからず、彼女の今の幸せを壊すことなんだ。お前は彼女を悲しませたいのか？」
「いや、そんな…」
「お前は彼女の幸せを願えないか？」
「彼女には幸せでいて欲しい。」
「じゃあ、お前がどうすればいいかわかるな？」
「…彼女のことは好きだけど、彼女の幸せを願います。」
「うん、ジョングク、良い男になったな。」
「…はい。」
ちゃんと納得できたのか、ジョングクは少しだけ悲しい顔をして返事をした。
自分が彼女に選ばれない現実を直視するのは辛いよな。
好きな人には自分と同じように好きになってほしい、だが、現実はそう望み通りに行かないことだらけ。
特に恋愛はなぁ。
「はじめからナムに任せれば良かった。」
ふとヒョンが呟いた。
「いや、今だから、ってこともあるでしょう？」
彼女に恋したあの時なら、ジョングクに俺の言葉は届かなかったかもしれない。
「とりあえず、これで大丈夫か？」
「…多分」
部屋を出ていくグクは幾分スッキリした顔をしていた。
ヒョンと二人、ため息をついてしまった。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年4月14日 7時
