◎583 ページ43
◎JK
一緒に仕事をして、彼女の人となりを知れば知るほど、焦がれてしまう。
彼女に名前を呼んで欲しいし、俺を見て欲しい。
俺のもの、になって欲しい。
彼女の彼氏はSEVENTEENのジョシュアだったけれど、見た目もパフォーマンスも俺だって負けていないはずで…。
アイドルとしたら俺のほうが売れてるはず、だよね？
男だって女だってより良い人間に惹かれるよね？
付き合ってきた女は皆そう言ったし。
収入面だって見た目だって魅力だって俺はアイツに負けてない。
「どうして俺じゃだめなの？」
そうユンギヒョンに聞けば、彼は深い溜め息をついた。
「Aは、ジョシュアがアイドルだから付き合ってるわけじゃない。ジョシュアがアイドルになる前から付き合ってる。」
ヒョンの回答はシンプルだった。
「出会ったのが遅かったから、彼女を手に入れられなかったってこと？」
そう聞けば、
「まぁ、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。」
ヒョンの答えは曖昧だった。
「出会った順で言えば、ジョシュアより俺のほうが先に出会っているわけだし。」
「ヒョン、その時になんで紹介してくれなかったの？」
「お前と出会ってないからな。無理だ。」
「俺…諦めたくない。彼女は、俺が生きてきた中で、出逢った極上の女性なんだ。」
そう呟けば、
「まぁ、確かに。Aは良い女だよな。」
とヒョンは呟いた。
「…女性は彼女だけじゃないよ。」
ナムヒョンが言う。
そんなことはわかってる。
「でも、俺は彼女が良い。」
我儘だってわかってる。
「選ぶ権利はあっちにもあるだろう？」
ヒョンの言うことはわかる。
「じゃあ、選んでもらえば良いんだ！」
そう返せば、
「だから、彼女はジョシュアを選んでいるでしょ？」
ナムヒョンが言う。
「俺を知ってもらって…」
「お前、あいつに言われたの、忘れたのか？」
"例え、貴方を知っても、
そう、確かにそう言われた。
「でも、人の気持は変わるものだし…」
「変わりそうなんですか？」
ナムヒョンがユンギヒョンに聞く。
「いや。無理だろ。」
ユンギヒョンはそう答えた。
「…でも、だって。」
「Aに嫌われたくないなら…。」
「嫌われたくない、けど…」
どうしてわかってくれないの？
じゃあ、どうすればいいの？
俺は彼女に選ばれたいのに。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年4月14日 7時
