▼576 ページ36
▼
Aはロスに仕事で帰ってきているわけで休暇中の僕とは違い、毎日何かしらの予定が入っていた。
それは多分彼女を韓国に繋ぎ止めている僕の我儘のせいで、だけど、僕は絶対にAと離れたくないからこれからも彼女を僕の拠点に繋ぎ止めてしまうんだろうな。
申し訳ない気持ちはあるけど、やっぱりAとは極力離れたくない。
嫌でも仕事で離れなきゃいけないし…。
う〜ん、僕は独占欲が強いのかな。
なんて考えながら、そこに居たAに抱きついた。
なんだかんだ考えたって、僕はAを離せない。
「ジス、帰る準備は終わってる？」
「うん」
「ジス、折角のお休みだったのに振り回してごめんね？」
Aは、そう僕の腕の中で眉を下げる。
「振り回されてないよ。僕がAについて回っただけ。だから、気にしないで。」
そう答えて彼女の柔らかい頬にキスをすれば、Aは笑う。
頬だけじゃ嫌だ。
沢山彼女にキスしたら、愛しさが止まらなくなった。
あぁ、可愛い。あぁ、駄目だ。
Aが足りない。
「ちょ、ジス、どこいくの？」
彼女を抱き上げたら、Aが慌てたように声を出す。
「ん〜、ここでもいいけど…」
そっとリビングのソファに彼女を下ろして、彼女の上に覆いかぶさり、彼女のシャツの中に手を入れる。
ん〜、温かい、柔らかい。
この柔らかさと温かさにぼくは幸せを感じちゃうんだよねぇ。
「ちょ、そうじゃなくて、今、昼間だし、ここ、リビングだし、」
「別に時間とか場所とかどうでもいい。僕の愛はいつだって溢れてるんだよ？」
「ジス、だから、なんで…」
「ちょっとだけ、ねぇ、お願い。ちょっとだけ、Aに触れたい。」
そう言えば、Aの瞳が揺れる。
あとひと押しかな？
「今は二人だけだし、ちょっとだけ、良いでしょ？」
ちょっとだけなわけないけど、ちょっとで止まるわけもないけど、そう僕が言って、彼女が仕方ないなぁと頷こうとした時、僕のスマホがけたたましく鳴った。
「ジス、電話」
「チッ！」
「ジスが舌打ちした？！」
邪魔されたんだから、舌打ちするのは当たり前でしょ。
なんて思いながら、スマホを見る。
"マネージャー"と表示された名前に出るのをやめようかと思ったよ。
でも、マネージャーには今回の帰国の休みを調整してもらったから、仕方なく、本当に仕方なく電話を取ることにした。
はぁ、僕はなんていいヤツなんだろう。
…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 513人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちな
| 作成日時：2023年4月14日 7時
