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韓国ではドライブなんてできないから、ロスに来ている今、Aを助手席に乗せて、ドライブしている。
特に行き先は決めていない。
隣に座る彼女は、何故か僕をじっと見つめている。
見慣れたロスの風景より僕の方が彼女は気になるのかな？
…なんちゃって。
韓国ではこんな気軽に外に出れないもんね。
ロスについてきて良かった。
車の中は僕とAだけの空間。
それが嬉しくて、自然と僕のテンションは上がった。
「なに？」
彼女からの視線をずっと受けていたから、信号待ちでAを見てそう聞いた。
「ジスが格好良いなぁと思って。」
Aの思いがけずの回答に、
「え、」
と固まる僕と、
「あ、ほら、信号変わったよ？」
通常運転の彼女。
「A、そういうのは…ズルいな。今、運転中だから、後でね？」
後で沢山、やることがあるでしょ？
僕の愛を受け止めて！
…なんちゃって。
"格好良い"って言って欲しくて、ドライブしているわけじゃないけど、これは嬉しい誤算だな。
格好つけている時じゃ無い時に限って、格好良いって言ってくれる彼女。
まったく本当にAは、僕を喜ばせる天才だよ。
また、彼女の視線がこちらに来るから、
「Aそんなに僕を見つめて…。惚れ直した？」
チラリと視線をAに向けてそう聞けば、
「うん」
と素直に言われてしまった。
冗談だったのに。
キラキラと綺麗な彼女の瞳に僕が写っていて、彼女にキスしたくなった。
「っ、今、運転中だから。」
だから、そう呟いて慌てて前を向いた。
運転中にキスはできない。
頑張れ、僕の理性！
今頑張らずしていつ頑張るんだ！
そんな僕に気づかずに、のんびりと
「うん、知ってるよ？」
と言葉を返すA。
Aが可愛いのがいけない。
いけないけど、Aは可愛いから仕方ない。
「…もう、だから、ズルいって。」
そう言って、Aの手を握る。
あぁ、もう帰ろうかな。
家に帰って、誰にも邪魔されずに…。
「ジスが格好良いのがズルいと思う。」
ポツリと呟く彼女。
それを言うなら、Aが可愛いのがいけない。
僕はため息を付いた。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年4月14日 7時
