◎568 ページ28
◎リウ
今までは個人で仕事していた。
だけど、仕事をすればするほど機材やら契約やらで個人でやるのは辛くなってそんな時にルーカスが、
「うちの事務所来るか？」
って声をかけてくれた。
優秀なマネージャーもつけてくれて契約が楽になったし、住むトコも確保してくれたし、何よりルーカスとA、プロの歌手が使っている音響機材を全部使わせてくれることになったのが一番ありがたい。
同じ事務所ってことでAに仕事を頼みやすくなったし。
彼女は俺の意図を汲み取って歌ってくれるから、言葉で説明しなきゃいけない他の歌手を使うよりも断然良いものが出来る。
ルーカスが手放したくないって思う気持ちがすっごくよく分かる。
今回のレコーディングも予定より一時間も早く終わった。
難点はジョシュアだけ。
アイツのせいでAがロスに滞在できないこと。
「リウは何にする？」
そんな俺は今、Aとリサとジョシュア、このメンバーで事務所近くのカフェに来ている。
「店のお勧めで…」
そう答える。
普段カフェなんてお洒落なとこ来ないし、どちらかといえば、家でインスタントコーヒーを飲んでる俺。
カフェのメニューなんてわからない。
それにしても、平日の午前中だから人は少ないとはいえ、このメンバーは注目されるな。
Aは身バレしてないけど、顔面偏差値高いんだよな、リサも美人だし。
ジョシュアなんて、帽子被ってサングラスつけてるのにイケメンオーラがでている。但し、ジョシュアはAしか見えてない。
Aの隣の席をキープし、ずっとAと手を繋いでる。
良いのか？お前、トップアイドルだろ？
ウェイターが来て注文を取っていった。
流石、プロは違う。
いくらジョシュアがAにベタベタしようと顔色を一切変えなかった。
「なぁ。ジョシュアのメンバーってどんな奴ら？」
そう聞けば、Aとリサはアイコンタクトした。
「えっとね、みんなでお揃いとか持ってて、ジスのことが大好きな男の子達だよ。」
ニコニコと笑って答えるA。
なに？おそろいって？
「は？」
「個性的な男の子達よ。韓国ではアイドルグループは家族みたいに仲良しみたい。」
リサの説明のが分かりやすい。
「家族？」
「そう、ジスは優しいお兄ちゃんなの。」
自慢気に言うA。
「へぇ、」
だから気軽にジョシュアに頼み事が出来るんだな。
俺は見返りに何を要求されるか分からなくて無理だな。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年4月14日 7時
