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いったい世界中に何個家があるのか、なんて世界のルーカス＆Unnamedに対しては愚問なんだろうな。
僕は今Aとロスに来ている。
空港からいつものようにルーカスのところの車に乗り込んで、着いたのは実家ではなく、ルーカスの事務所近くの高級住宅地のマンション。
僕は"セキュリティのしっかりしたマンションに連れてこられた"認識だけど、Aは自宅のように普通に部屋に入った。
「あれ？ジスはここ初めてだっけ？」
玄関で僕に言う彼女に頷けば、
「ここは一応Unnamedの家ってことになってるの。」
とAは言いながらリビングへと僕を招き、僕は彼女に付いて歩く。
「韓国事務所みたいにこのマンションにはウチのスタッフしか住んでないから…セキュリティは万全。」
そう説明するA。
「へぇ…」
僕は世界中に沢山家なんて持てないし、今更ながら彼女やルーカスの財力に圧倒されてしまう。
「じゃあ、コレはジスの分ね〜。」
そう言って、Aはこの部屋の鍵を僕に握らせた。
「え、いいの？」
「え、嫌なの？」
そう言って首を傾げるA。
「嫌じゃないよ。」
「なら持ってて。いつかジスの避難場所になるかもしれないし。」
「避難場所？」
「ファンに追いかけられたり、メディアに追いかけられたりするかもしれないでしょ？」
なるほど、そう言うこと。
彼女達が世界中に家を持っているのは、避難するため、か。
確かに避難場所は複数あったほうが安心だ。
Aとルーカスはそう言う色々なことを駆使してUnnamedの正体を隠しているんだね。
「わかった。ありがとう。」
僕がそう言うとAは嬉しそうに笑った。
僕のキーケースに新たな鍵が追加された。
「ねぇA、」
「なぁに？」
「今回のロスはどんな日程？」
彼女のスケジュールをちゃんと聞いておかないとね。
僕は休みだけど、彼女は仕事をしにこっちに来たみたいだし…。
「え〜と、とりあえずレコーディングはリウの仕事が入ってて、合間合間に会食とか…」
首を傾げて指折り答えるA。
「ソレ全部に僕、ついていって良いんだよね？」
そう聞けば、
「え、」
と顔を強張らせるA。
「僕休みで暇だし良いでしょ？」
「でも、折角ロスに帰って来たのに…」
「僕が付いていきたいの！だめ？」
「駄目じゃないけど…」
「じゃあ、良いよね！」
よし、押し切った！
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年4月14日 7時
