◎563 ページ23
◎ALEX
「え、行きたい」
目をキラキラさせ言うA。
『とりあえず、ジョッシュに聞いてみろ』
「うん。わかったー。」
兄妹の会話は滞りなく進む。
ヴィクターの件があったから、Aは大事を取って帰国＆ロス滞在禁止令が出ていた。
メリッサのおかげで、今は解決してヴィクターは彼の地元に帰還したらしいから、今回のこのルーカスの話は久しぶりにAをロスに呼ぶものだった。
A、久しぶりの帰国に喜んでいるが、"ジョッシュの許可が必要だ"って条件が付いているの、気づいているか？
「丁度リウもロスに居るみたいだし、レコーディングもできちゃうね〜。」
ニコニコと笑うA。
お前は一体どのくらいの日数、ここを空けるつもりなんだ？
あんまり空けるとジョッシュが五月蝿いぞ。
「うん、じゃあ、また。」
Aは笑顔で通信を切った。
スマホでスケジュール確認をしている。
知ってるか？A。
誰よりもジョッシュが厄介だってこと。
アイツに対して、のほほんと"ジスは不思議だね〜"と言えるのは、お前くらいなんだからな！
「ねぇ、A。大丈夫なの？」
リサがそう彼女に聞いている。
「え、なにが？」
首を傾げるA。
「帰国はジョッシュの許可が出たら、でしょ？」
「あ〜…うん、」
「出るのかしら？」
「出ないかな？」
二人して首を傾げるから、
「出ないんじゃないか？」
と言ってみた。
「えぇ」
ガーンって顔をしているA。
いや、マジで。
なんですんなり許可出ると思ったんだ？
お前と離れるのが嫌で、ルーカスに我儘言って無理やりAを韓国に在中させてるの、ジョッシュだろ？
普通に考えて"嫌だ"って言われるだろ？
「事務所の近くに新しいカフェできたんだって。行きたいなぁ。」
眉を寄せて呟くA。
カフェ、カフェか。
ジョッシュはカフェに負けるのか。
「それは、誰情報？」
「メリッサ。」
「メリッサだったら、確実に良い店決定じゃない。」
「うん、リサ、一緒に行こうね。」
「…ジョッシュが許可したらね。」
リサは冷静だった。
「…ダメかな？」
悲しげに呟くA。
その顔やめろ。こっちも悲しくなる。
「…アレックス」
耐えかねたリサが俺を呼ぶ。
「あぁ、はいはい。あっちのマネージャーに確認してくる。」
スマホ片手に部屋を出る。
俺もリサもAに甘いな。
はぁ。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年4月14日 7時
