310.偶然 ページ10
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前回なんだかんだと大騒ぎだったし、その後狙われた事もあって、今回私はオッパ達と別日で、国外に出ることになっている。
グクやジミン達は不満げだったけれど、一人で動くわけじゃないからとセジニオッパが説得していた。
私はスタッフなんだし、危ないことなんてめったにないよって話なんだけど、皆、何故か納得してくれない。
ボディーガードをつけなきゃなどと言い出すから驚いた。
そんなのついてるスタッフいたら変じゃん。
ジスは、私が出国前に泊まりに来て、まぁ、ちょろっと話したけれど、要は物理的に離れたくない。寂しい。って話だった。
お互い仕事していたらそうなるのは仕方ないよね。
私は前もってスケジュールを知っているから、今回のフェス一緒じゃん？とか思っていたけど、知らなかったらやっぱり寂しくなる、のかな。
そんなこんなで国際線の飛行機に乗り込む。
「もしかして、ミン・A？」
座席に座ろうとしたら、隣に座る男性にそう声をかけられた。
「え、と？」
誰だっけ？
同じ年くらいかな？
そう思っていると、声をかけてきた男性はサングラスを外し、
「あ、俺、キム・スンギ。」
と自身の名を言った。
「え、スンギ？」
「久しぶりだなぁ。」
照れ笑いを浮かべるスンギ。
「うん、久しぶりだね。」
そう答えつつ、
何年ぶりかな？よく私がわかったなぁ。
凄い偶然だなぁ。
地元の同級生にこんなところで会うなんて…。
そんな思いが顔に出ていたのか、
「A、綺麗になったなぁ。」
なんて呟くスンギ。
お世辞が出るなんてお互い大人になったよねぇ。
「一時期、話題になったユンギ氏の妹ってAだろ？夢、叶ったんだな。」
スンギは周りに気を使ってか、声を潜めてそう告げる。
そうか。彼には私の夢を伝えていたんだっけ。
オッパを支えたいって。
「夢を叶えて凄いな。Aは…。頑張ったなぁ。」
そう言い笑うスンギは昔の、私の知っている彼だった。
彼は地元の同級生だったけれど、彼に告白されてなんの気の迷いか少しの間付き合っていたんだよね。
若気の至り、だよなぁ。
校内でも人気者だったスンギと付き合っていたなんてさ。
スンギは女の子にとてもモテた。
彼の唯一の彼女だなんて何を勘違いしちゃったのか。
彼には彼女が沢山いたんだよね。
モテる人は彼女も沢山作れるってわからなかったあの時の私は若かったよね。
今更彼に思うところは何もないんだけど。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年11月19日 9時
