322.疲れた ページ22
▽Yoongi
コレ、誰かに見られたらヤバイよなぁ…。
「オッパ、どう？気持ちいい？」
グッと力を入れられて、
「んっ。」
変な声が出た。
「ふふ、オッパったら。」
笑う妹。
声だけ聞かれたら、俺が妹と変な関係なんじゃないか、と誤解を受けることだろう。
幸いここには俺達以外誰も居ないし、誰も来ない。
今俺はAの家で、妹の膝枕でマッサージをしてもらっている。
膝枕だけでも妹の彼氏に見られたら、辛辣な言葉で罵倒されそうだ。
強行軍でスケジュールをこなしたから、体のメンテナンスと言う名のマッサージを妹にしてもらっているわけだが…流石何でもできる妹。
マッサージの腕も大したもんだ。
ドサッ
「「え？」」
リビングのドアのところで何かが落ちる音がした。
妹と二人で視線をそこに向ければ、居るはずのない男が目を見開いてこちらを凝視している。
さっきの音はコイツの荷物か。
ジョシュアの足元にはリュックサックが転がっていた。
「ねぇ、二人共なにやってんの？」
あれ、こいつの声こんなに低かったっけ？
呆然としてジョシュアの質問に答えられなかった。
「ユンギさん、ソコ。僕の場所！」
そう言いながらこちらに突進してきたジョシュアは、Aの膝枕に居た俺を力任せに起こすとAに抱きついた。
Aの膝枕が"僕の場所？"
ツッコミどころ満載なんだが…。
妹を抱きしめるジョシュアは俺を睨みつけた。
いや、俺Aの兄、な？
「ジス、仕事は？」
「明日は休み」
「ご飯は？」
「まだ食べてない」
自身に抱きつくジョシュアと普通に会話している妹。
Aと会話しながらも俺を目で威嚇するジョシュア。
視線が鋭い。
コイツ、普段ヘラヘラしてる癖にこんな顔もできるのか。
「オッパ、お疲れ様。」
そう助け舟を出す妹に
「あ、ああ。じゃあな。」
とそそくさと彼女の家を後にした。
ただマッサージしてもらっていただけなんだが…。
そう言えば、ジョシュアはこの家の合鍵を持っていたな。
俺達より帰国が早かったし、Aが帰国したら来るよな。
「はぁ」
思わず、ため息をつく。
体の疲れはマッサージでとれたが、ジョシュアと会ったことで精神的になんか疲れた。
「Aは、アレとよく付き合ってるな。」
本心が溢れた。
罵倒はなかったがあの視線はいただけない。
アイツ、アイドルだよな？
それだけ妹にご執心なんだろうけれど…。
ホント厄介なやつに目をつけられたもんだ。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年11月19日 9時
