318.余裕のない男 ページ18
▽Joshua
「そう言えば、僕ね、聞きたいことがあったんだ。」
そう言いながら、Aの反応を見落とすことがないようにじっと彼女の顔を見る。
彼女がこっちに来る飛行機内でのこと。
隣りに座った一般人と話していたって。
普段の彼女なら適当にあしらうはず、なのに…。
「ねぇ、どうして？いつもなら適当に話を切り上げるよね？」
そう聞きながら、彼女の肩から手を彼女の頬へと動かす。
すべすべの柔らかい頬は触り心地は最高。
Aは"ん〜、"と考えて
「動揺してたのかな。」
とそう答える。
「動揺？どうして？」
「あんな場所で顔を合わせるなんて思ってなかったし、なんだか距離近く話してくるから、驚きすぎて動揺した。」
「距離近く？ただの同級生だよね？」
「あ〜、数日だけ付き合ってたことがあった人だったから。」
あっさりとそう云うA。
「え。元彼ってこと？」
そう呟きながら、彼女の魅力的な唇に自身の指を這わせた。
「元彼って言うのも憚れるほど、すぐ別れたんだけど。」
「ん？良くわからない。」
もしかして、僕以外の誰かが彼女の唇に触れたの？！
嫉妬なんて生易しい気持ちじゃないものがこみ上げてきているんだけど。
キスしても良いかな？
「ねぇ、話し難いよ。」
彼女の唇を触っていたら、眉を寄せた彼女にそう言われた。
Aが過去、誰かと付き合ったことがあるなんて、こんなに魅力的な彼女ならあり得ることなのに…。
僕以外とそう云う過去は認めたくない。
なんて独占欲丸出しで余裕のない男なんだって自分でも思うけども。
とりあえず、キスしとこ。
「ちょ、ん、ジス。」
一度触れてしまえば、何度もしたくなる。
麻薬のようなAとの甘いキス。
「ねぇ、僕以外とキスしたの？」
そう聞きながら、もししたなら、ソレを忘れさせるくらいの甘いキスをしなきゃ。と思う。
「ん、してないよ。ただ、告白されて付き合い出して、すぐ浮気？いや、彼には彼女が沢山いるって知ったから。」
僕の胸に手を置いて、僕との距離を取ったAはそう答えた。
「は？」
Aを彼女にしておいて他に女が居ただって！？。
「なんかモテる人だったみたい。だから、すぐ別れたの。キスどころか、手も繋がなかった。」
Aはそう話した。
元彼とも言えない、うっすい関係。
だから、声をかけられて驚いたらしい。
「なんだそれ。」
思わず呟いた言葉に
「…だよね。」
とAは、苦笑いした。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年11月19日 9時
