317.情報通 ページ17
▽
今日一日の仕事が終わり、ホテルに戻る。
明日は、兄たちが来るから…とプランを確認しながら、廊下を歩く。
私の宿泊する部屋のドアを背にして座り込んでいる人がいる。
「ジス、お仕事終わったの？」
「うん。」
そう言って立ち上がる彼に苦笑いしながら、部屋へと招く。
当たり前のように部屋に入る彼は、自身の荷物を持っているような気がするのは気の所為なのか…。
「…ジス、ここに泊まるの？」
戸惑いながら、そう聞けば、
「うんっ！」
と良いお返事が返ってきた。
このフロアはBTSが泊まることになっているから、今夜は私以外泊まる人は居ないんだけど…。
SEVENTEENは確か一つ下のフロアだったような…。
「SEVENTEENは良いの？」
「え、だって13人も居るんだよ？！1人いなくたって気づかないよ。」
「いや、普通、気づくよね？」
「マネヒョンとジフナに言ってきたから大丈夫！」
ニコニコ笑いながら言うジス。
「でも…」
「心配なんだ。ユンギ氏達、明日からでしょ？今日このフロアはA以外宿泊する人居ないんでしょ。」
眉を寄せて真剣な顔で言うジス。
どこでその情報手に入れたんだか。
このフロアにカメラクルーが来るのは明日だし、今日は大丈夫かな。なんて思った。
「…ジスはしょうがないな。」
ジスは私がそう言うのを予想していたのか、引く気はなかったのか、彼は部屋で寛ぎ始めた。
備え付けのソファに座った彼は私を引き寄せた。
「今日さ。Aが居たのにハグできなくて…僕はとても我慢したんだ。」
私を自分の足の上に座らせたジスは、そう話し出し
ぎゅっと私を抱きしめた。
「そ、そうなんだ。」
「うん、やっとハグできた。」
まぁ、彼とのハグは嫌いじゃないし。
華奢に見えて、でもしっかりと男性の身体をしているジス。
彼の腕の中はとても居心地が良い。
私も彼の背に腕を回した。
「話は聞いていたけど、Aが若い男達に囲まれて居るのは僕の精神衛生上良くないね。」
はぁとため息をついて言うジス。
「若い男って…」
その言い方なんだか意味が違う気がする。
ハグを解いて、私の両肩に手をおいたジスは、
「そう言えば、僕ね、聞きたいことがあったんだ。」
と私の顔をじっと見て言う。
意外と情報通のジスに何を聞かれるんだろうか、と身構えた。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年11月19日 9時
