だから、言ったじゃん。Ⅷ (ページ15)

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315.小さな事からコツコツとページ15

▽Kang Tae-Hyun(TXT)

「全く油断も隙もない。」

プリプリ怒って言うマネヒョンにAさんは首を傾げた。
僕達がちょっと目を離した隙に彼女に声をかける他事務所のスタッフ。
あのままだったら、Aさんは絶対連絡先交換とか言われていただろう。
現にあの人は今もこちらをじっと見ている。

「Aさん、他事務所のスタッフなんて危険ですよ。近づかないでください。」

マネヒョンの言葉に彼女は苦笑いする。

「女性でしたし、大丈夫、だと思いますけど…。」

「駄目です。性別は関係無いです。Aさんはうちが預かってる大切なスタッフです。何かあったら大変です。」

マネヒョンの勢いに彼女は困ったように眉を寄せた。

「Aさんに何かあったらBTSのヒョン達、仕事できなくなりますよ？」

「え、それは困る。」

「ですよね？なら大人しく僕達の側に居てください。」

流石というべきか、スビニヒョンがそう笑顔で諭せば、

「え、あぁ、はい。」

と彼女は返事をした。
別に"僕達の側"にいる必要はないんだけどね。
ほら、ホテルで待機とかあるんだけど。
ヒョンの願望が出ちゃった感じ？
まぁ、彼女がいてくれる方がうちのメンバーのテンション上がるから、有り難いんだけど、さ。

「じゃあ、今のうちに、日本語教えてください。」

「あ、俺も…」

ボムギュヒョンに始まり、ヨンジュニヒョンも語学をおさらいしたいと言い出し、

「え、日本語の先生は！？」

そう驚く彼女に

「今回は来てないんです。」

「お願いします。良くない発音にダメ出ししてください。」

と畳み掛ける。

「まぁ、それくらいなら…」

彼女の了承を取り付け、密かにガッツポーズをとるメンバー。
先輩達が居ない時じゃないと彼女のそばには行けないし、時間の共有もできないもんね。
日本語教えて、は口実で。
口実でもなければ、彼女は別の仕事をしに行ってしまう。
彼女は優秀なスタッフだから、彼女のできる仕事は山ほどあるんだよね。
今回僕達は、BTS先輩から了承を貰っているから、HYBEのスタッフ達が羨ましげにチラチラとこっちを見ていても彼女を渡さなくても良いんだよ。
自分の仕事は自分でやりましょう。

いつか僕達のスタッフになってくれないかなぁとか言う僕達の密かな願望が達成できるように…。

小さな事からコツコツと。
だよね。

…