312.ちゃんと報告するよ ページ12
▽Kang Tae-Hyun(TXT)
「ねぇ、何もらったの？」
笑顔のスビニヒョンがそう言いながら貰ったものを出せとばかりにAさんに手を差し出した。
飛行機に乗るまで、めちゃくちゃご機嫌だった彼。
Aさんの隣の席の多分一般人男性が彼女に話しかけた時点で彼のご機嫌は氷点下まで下がった。
更にその一般人男性はずっとAさんに話しかけるもんだから、アイドルがしちゃいけない顔をずっとしていたよ。
まぁ、その顔をしているのはヒョンだけじゃなかったけど。
"やっぱり、Aさんの周りに僕らが座ったほうが良かったかも。"と笑顔で呟くボムギュヒョンもそれに頷くメンバーも居て…マネヒョンが困った顔をしていた。
Aさんは苦笑いして、ヒョンに紙切れ？を渡しながら、
「名刺、だよ。」
と答えた。
ヒョンは目を細めて、名刺を見ている。
「あの人は知り合いですか？」
ボムギュヒョンがそう聞くと、
「あ〜、まぁ、地元の同級生。」
Aさんはそう答える。
「ふぅん。だから、馴れ馴れしかったんだ。」
ヒョンの呟きは彼女の耳に入らなかったようで、
「え？」
と首を傾げているAさん。
「Aさん、コレいらないよね？ヒョン、処分して。」
そう言ったスビニヒョンは、Aさんの返事を聞かずに、マネヒョンに名刺を渡した。
「Aさんも知ってるけど、一般人にプライベート番号教えると色々面倒だから、コレは処分しておくよ。さぁ、お前等、行くぞ。」
芸能事務所のスタッフって大変だよね。
所属アイドルの情報漏洩対策のために気軽に一般人と連絡先交換とかできないんだから。
マネヒョンの声がけで僕達は、歩き出す。
空港に待ち構えているカメラの数は先輩達にはおよばない。
だから、今回の移動はAさんと一緒に動けたんだけど…。
まさか、ARMYもMOAもAさんが僕達と移動しているなんて思わないだろう。
「やっぱり、Aさんの両隣はスタッフがいいかも知れないねぇ」
副マネヒョンの言葉に彼女は苦笑いした。
彼女はさも僕達のスタッフですのていで、副マネヒョンと歩く。
先輩達が来るまで、Aさんは僕らと行動してくれるみたい。
将来的に彼女が僕達のスタッフになったら、こんな感じかなぁ？なんて思いながら、空港に集まったカメラやMOAの前を歩いた。
あ、Aさんが声をかけられて、連絡先を押し付けられたことは先輩にちゃんと報告するよ。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年11月19日 9時
