だから、言ったじゃん。Ⅷ (ページ11)

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311.運命じゃね？ページ11

▽キム・スンギ

現在付き合っている彼女に会うために国際線に乗り込む。
大学で出会い、付き合っている彼女は留学生だった。
お互い社会人になって、先月は彼女がこっちに来てくれたから、今月は俺があちらに行く。
飽きっぽい俺が遠距離恋愛することになるとは思わなかった。
まぁ、でもそろそろ終わりかな。なんて漠然と思ってたりして。
今の彼女はとても良い子だと思う。
ただ、彼女と新しい家庭を作って、なんて思い描けないだけで…。
そんな事を考えつつ、飛行機が飛び立つのを待っていたら、隣の席に座る女性が視界に入った。
あれ？

「もしかして、ミン・A？」

考える前に口に出していた。
中学時代に少しだけ付き合った彼女。
あの当時、彼女に惚れてやっと付き合えたのに周りに邪魔された。
数週間付き合ったけれど、手を繋ぐことしか出来なかった彼女。
苦い思い出だ。
でも、今このタイミングで、Aに会えるなんて、これって運命じゃね？

彼女は昔も可愛かった。
今も可愛らしいけれど綺麗になった。

「A、綺麗になったなぁ。」

思わず口にすれば、Aはきょとんとした後、苦笑いした。
これは社交辞令と取られているな。

Aは兄のユンギ氏の芸能事務所で仕事しているとネットでも話題になっていた。
付き合ってる時に言ってたもんな。
オッパのサポートをしたいって。
そりゃ、芸能事務所なんだから彼女の周りは綺麗な子や可愛い子が沢山いるんだろうけど、負けてないよな。と思いつつ、現地に到着するまで彼女と雑談した。

あぁ、俺、やっぱりAが好きだなぁ。

偶々、飛行機で隣の席に座るってさ、これ、俺達、運命じゃね？
そう思いつつも、今の俺には彼女が居るんだった。
きちんと彼女と別れて、Aを口説きなさいって、神の思し召しかもしれないな。

「あのさ。時間あったら、連絡して。」

そう言って、プライベート番号を書いた名刺をAに渡した。
本当は、カトクの交換とかしたかったんだけど、なんかAの周りにいる男達の視線が鋭くてできなかった。
アレはなんなんだ？
Aの同僚か？

とりあえずは身綺麗にして、Aからの連絡待ち、かな。

…