だから、言ったじゃん。Ⅷ (ページ2)

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302.友人ページ2

▽REN(NU'EST)

あの子とは丁度良い距離感の友人なんだ。

まだデビューしたての頃、自分の周りは慌ただしく変わっていって、自分はついて行くのに精一杯。
メンバーも似たようなもので、それぞれが自分のことで手一杯だった。

その頃はさ、自分の見た目から"姫"とか"可愛い"とか沢山言われてて…。
まぁ、そう言うキャラでって事務所の方針もあるから、仕方ないんだけど、やっぱり悶々とすることはある。
だって、俺は男だし。

そんな時に出会ったのがAで。
NU'ESTが忙しいからって偶にヘルプで入ってくれるマネージャー見習いがAだった。
ちっちゃくて、ちょこまかしてて、Aこそが可愛いじゃん、ね？なんて思った。

ある日、やっぱり沢山可愛いって言われて、ちょっと凹んでた。
キャラが定着して良いことなんだろうけど、本当の俺は可愛いくね〜よ、なんて思って…。
だけど、そんな本心を吐露したって誰も聞いてくれないだろうから口に出すことは無駄でしかなく…わざわざ、メンバーの雰囲気を悪くするようなことを口する気にもならない。

「はぁ」

気をつけていてもため息は出ちゃうもので、出てしまってから、ヤバい。空気を壊したかもしれない。と周りを伺う。
メンバーはやはりため息を付いた自分に視線を向けていて、どう誤魔化そうかと思っていたら、

「わかる、わかるよ。レン。"日本語は難しい"よね。」

自分の隣りに座って日本語のテキストを睨みつけているAが呟いた。

「『大丈夫です』って、いいの？ダメなの？どっちなの？ケース・バイ・ケース？って、え、その時によって意味がかわるの？なんで？」

ブツブツ言うA。
なんでその言葉を勉強してるんだ？Choiceが微妙。日常会話だから？

「No, Thank youの意味もあるから…」

アロヒョンが呟く。

「もう色んな意味がありすぎて頭パンクしそう。」

眉を寄せて言うAが可愛くて、笑ってしまう。

「Aがそんなに語学頑張らなくても…」

ジョンヒョンがそう彼女に声をかける。

「でも、出来ないよりできたほうが良いから。」

そうAは言って、空き時間に語学の勉強をしながら、仕事をこなす。
仕事や全てのことにストイックな彼女を見ていると自分の悩みが小さく思えた。

残念ながら彼女はうちのスタッフにならなかったけれど、それなりの時間一緒に過ごしたから友人としての付き合いは今も続いている。

…