260.不思議ちゃんと大魔王 ページ10
▽JEONGHAN
結局のところ、俺達はAに助けてもらっていて、彼女の存在なしではきっとどこかで誰かが潰れたと思う。
Aというか、ナムジュンさんのアドバイスを受けた俺達は、メンバー皆でジュンを支えることを選んだ。
ユンギさんから召集を受けた俺達は、ジュン以外のメンバーにあの召集の時の話をして、必ず誰かがジュンに寄り添うことを約束し合った。
そのかいあってか、ジュンの様子は日に日に良くなっていった。
ある日、宿舎のリビングにジュンとシュアが二人きりでいるのを発見した。
「ねぇ、シュアヒョン。」
「なぁに？」
「僕さ、Aのことが好きだ。」
はぁ？
ソレをシュアに言うか？
まずいんじゃないのか？
A命のシュアに何言っちゃってんの？
ジュンは…。
「ふぅん？」
そう言って心底不思議そうにジュンを見るシュア。
「僕はシュアヒョンも好きだ。」
にっこりと笑って言うジュン。
「ん？…そう。ありがと。」
余裕でそう返すシュア。
「だからね、二人には幸せになって欲しいの。」
ジュンはニコニコと笑いながら言う。
「？」
シュアは首を傾げている。
「ヒョン、Aを大事にしてね？」
「うん。Aを大事にするのは当たり前だよ。」
「そっか、当たり前か。」
「僕もジュナが好きだよ。」
「へへ、ありがと。」
何やらほわほわした雰囲気を出す二人。
元々ジュンは、不思議ちゃんだもんな。
とりあえず、喧嘩にならなくて良かった。そう思っていたら、
「アレはジュ二ヒョンだから言えたことだからね？」
俺の後ろからそうソクミナが言う。
「え？」
「間違ってもハニヒョンや僕が口にしちゃダメな言葉だよ？」
「なんで…？」
「シュアヒョンの逆鱗に触れちゃうもん。」
「そ、そうかな、」
「うん、間違いなく…」
「っていうかソクミナ、お前ずっと俺の後ろにいたのか？」
「うん、だってハニヒョン、リビング入らないから。」
「え、」
「ちょーっとだけ、邪魔だったんだよね」
「おま、邪魔って！」
「はい、どいて〜。」
そう言ってソクミナは俺を押しのけてリビングに入って行った。
酷っ。ソクミナ酷いじゃないか。
まぁ、でも彼の言うことも一理あるか…。
俺がAを好きだなんて言った暁には…。
寒っ、なんか寒っ。
ふと視線を上げれば、ニコニコするシュアが俺を見ていた。
いや、言わないよ。
Aは嫌いじゃないけど、彼女には大魔王がついているんだから。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年7月10日 21時
