だから、言ったじゃん。Ⅶ (ページ8)

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258.見えない傷ページ8

▽Namjoon

Aにきつい言葉を投げかけられ、呆然としていた彼ら。
今までどれだけ妹に甘やかされてきたんだろうか。

「寄り添うしかないだろう。」

俺がそう言うと、彼らは息を呑んだ。

精神的に傷ついた時、他人からは見えないその傷を癒やすのはかなりの時間がかかる。
見えない傷は、傷ついた本人にも見えない場合もあるし、見えない傷に付ける薬など無いのだから、傷を癒やすには彼に寄り添うくらいしか方法がない。
デビューから常にそばにいた仲間である彼らなら、彼の薬に成り得るだろう。
そう俺の考えを話せば、ウジは真剣な顔で頷いた。

「そうですよね。」

「俺、頑張ります。」

エスクプスもジョンハンもそう呟き頷く。

「俺も。まだジュナと一緒に頑張りたい。」

ホシもそう言った。

うん、とりあえず、それで良いかな。

俺は彼らとそんな話をしていた。

「状況が変わったら、また連絡してくれ。」

俺がそう言うと、

「はい。ありがとうございます。」

とウジが返した。

本当は本職のカウンセラーについてもらうのが良いとは思う。
ただ、カウンセリングというものはカウンセラーと信頼関係がないとだめなんじゃないかと思う。
俺達は職業柄、他人に対して壁を作りがちだし、早々簡単に他人を信用しない、というかできない。
売れるまでも売れてからも、スタッフや側にいる人間に裏切られたりはよくある話だ。
実際、ジュンは、そう言う経験をしたから、こうなってるわけだし。
仲間なら信用できるだろうから、カウンセラーの役割をメンバーがやれば良いと思うわけだ。
多分、Aが今までカウンセラー的役割をしていたんだろう。
スタッフとしてAが彼らの傍にいたなら彼女が適任だったと思うが、生憎俺達はAを彼らのスタッフとして戻す気はないし、現状俺達のメンタルケアは率先してAがやってくれているんだけどね。

彼らは自分達のことは自分達でやるべきだ。
今更、返して欲しいだなんて言えない事はわかっているだろうし、言わなかっただけ、彼らも成長したんだろうけれど。

そう言えば、いつまでもAの彼氏の座に居座るジョシュアは、その席をあけてくれないのだろうか。
他の変な男に盗られるのもイヤなんだけど。
ユンギヒョンが別れさせないんだから、仕方ないのかもしれない。

…