297.練習生の日常 ページ47
▽ある練習生
うちの事務所にはビックネームがいる。
BTSとかTXTとか。
SEVENTEENもいつの間にか系列になってるし、事務所としては凄いよね。
ここの練習生になれて嬉しい反面、デビュー出来るかな？と不安になる。
一応、私はスカウトで練習生になったんだけども…。
"原石は原石のままならただの石ころ。
一生懸命自分で自分を磨いて、宝石にならなきゃだめだよ？"
私をスカウトしてくれたシアさんの言葉を胸に私は自分を信じて毎日自分を磨いている。
ざわっ
練習室がざわめいた。
あぁ、あの人だ。
BTSのSUGAさんの妹で、ARMY達から親しみを込めて"ミンさん"と呼ばれているSUGAさん専属スタッフのあの人。
アイドルじゃないのに同性も異性も纏めて練習生達が憧れている人。
かくいう私も憧れている。
サラサラのきれいな髪を持ち、姿勢もスタイルも理想的で、笑顔が可愛いミンさん。
理想的な美しい人。
話したことのある子曰く、"気遣い上手でとても優しい"らしい。
そして、仕事はとても出来るらしい。
そんな彼女は偶に練習室に顔を出す。
「…オッパ、」
あ、初めて声を聞いた。
凄、きれいな声…。
「あぁ、時間か？」
「うん。まだ終わらなそう？」
「いや。今きりがいいから…」
練習室で練習生の進歩状況を確認していたセジン氏と話しながら、練習室を出ていく二人。
「凄、初めて声聞いちゃった！」
「きれいな声だったね。」
「デビューしたらスタッフとして付いてくれないかな？」
「そしたらオンニって呼べるね！」
練習生達が騒ぎ出す。
私も、オンニって呼びたいなぁ。
・・・そんな練習生の日常の話をシアさんに話した。
シアさんは私をスカウトした責任感から、偶に私のところに来てくれて、色々相談に乗ってくれるのだ。
「…その"ミンさん"はそんなに練習生に人気があるの？」
「はい！大人気です。自分達がデビューしたら是非スタッフとしてついて欲しいって子が沢山います！」
「それは…女子？」
「男女共にです！」
そう答えたら、シアさんは苦笑いしてため息を付いた。
「困ったことはない？」
シアさんにそう聞かれたけれど、
「今は特に無いです。」
そう答えた。
「そう。今が頑張り時だよ。頑張ってね。」
「はいっ」
シアさんの期待に応えたいって気持ちと自分を輝かせたいって気持ち。
あと、デビュー出来たら"ミンさん"と話すチャンスが出来るかな？
とりあえず今はがむしゃらに頑張ろうっと。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年7月10日 21時
