だから、言ったじゃん。Ⅶ (ページ45)

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295.手強いらしい。ページ45

▽HUENING KAI(TXT)

僕は知ってる。
チェ・ボムギュという男は所謂ヌナキラーである。
彼は特に年上が好きかと言えば、そうではない。
来るもの拒まずなだけ。
優しげなヤツの雰囲気にヌナ達は特にメロメロになってしまうようだ。
ほら、今もメイクヌナが彼にメロメロになっている。

「今日も僕、かっこいい？」

「うん、格好良いわ！」

「ありがとう。」

あざとさ全開の会話に恥ずかしくなる。
ヒョン、普段の一人称"僕"だっけ？

あぁ、そんなボムギュヒョンでも攻略できないスタッフが居る。
彼女はかなり手強いらしい。

"なかなか落とせない人ほど、燃えるよね〜？"

なんて不敵な笑みでヒョンは呟いていたっけ。
僕達は全員が彼女に憧れている。
あまりアピールし過ぎるとスビニヒョンが怖いんだよね。

今日はそんな彼女が現場にいる日。
たまたま僕達は先輩達と控室が一緒になった。
先に控室に到着していた先輩達に挨拶をしながら、彼女と話したり出来ないかなぁと先輩達の方をちらりと見た。
グシャリと音がして後ろを見れば、持っていた紙コップを握りつぶしているヨンジュニヒョンとスビニヒョン。
上手くやったね。
衣装濡れてないよ。

「ちょっとヒョン達何してんの？」

そう言いながら、カン・テヒョンがタオルを二人に渡していた。

僕達の憧れの人、Aさんの両肩をつかんで、まるでキスしているみたいなジミン先輩。
ジミン先輩、色気だしすぎです。
多分普通の女子なら顔を真赤にするところだろう。
恋人のような二人に集まる僕達の視線。
なんとも言えない控室の雰囲気。

「今更でしょう。自分でやりなさい。」

ジミン先輩の額にチョップをかまし、Aさんはそう言った。
地味に痛かったのか先輩はしゃがんで額を擦っている。

「ねぇA僕もやって！」

V先輩がAさんにそう声を掛ける。

「え、チョップ？」

「違う。コンタクト…」

「話聞いてた？自分でやりなさいって私は言ったでしょう。」

「えぇ」

そんな二人を見て、ジミン先輩が何をしていたのか、僕は知った。
Aさんにコンタクトを入れてほしかったってことか。

うん、先輩達、自分でやろうよ。

「A、目がシパシパする。目薬くれ」

「はぁい。」

結局AさんはSUGA先輩に呼ばれて、彼の方へ行ってしまった。

「ヒョン達、懲りないね。」

ため息を付いて呟くジョングク先輩。
先輩達、いつもこんなことしてるの？
やっぱり彼女は手強いらしい。

…