255.うるさい、黙って。 ページ5
▽HOSHI
「俺、気付けなかった。」
俺は呆然と呟いた。
一つ終われば次と仕事は忙しくて、Aの事もあって自分のことで手一杯で前に進めなくて…メンバー、一人一人の様子を見れるほど余裕がなかった。
ぎゅっと拳を握る。
自分が情けない。
「俺、信頼されてなかったのかな。」
ポツリとハニヒョンが呟いた。
俺達はずっと一緒に活動してきて、腹を割って何でも話せる家族、信頼できる仲間になれているはず、だった。
俺はジュンに負荷がかかっていたのに気づかずに居た後悔と彼からヘルプが来なかった現状にショックを受けた。
俺、なにやってたんだろ。
「俺、統括リーダーなのに…」
チョルヒョンも呟く。
統括リーダーだからって、チョルヒョンにすべての責任を押し付ける気はないんだけど、な。
「それを言うなら、俺だって。ジュナに近い位置にいたのに…。自分のことばかりだった。」
「スニョンもチョルも俺も…ダメダメだな。」
ため息を付いて言うハニヒョン。
その通り過ぎて、項垂れてしまう。
「あのね、君達さ、」
俺達の様子を黙って見ていたナムジュン氏はそう言って大きなため息を吐いた。
「大事な家族、仲間だから言えない事ってあるでしょ？俺達は男だし、仲間だからって、べらべら何でも話すわけじゃないじゃん。彼の様子には気づいていたんでしょ？」
そう話すナムジュン氏。
確かに俺だって、他のやつだって、メンバーに言いたくないことの一つや二つはあるとは思う、だけど…。
「でも、それでもこうなる前になんとかできなかったのかなって、後悔しちゃうんです。」
俺はそう言って、ため息をついた。
「ジュナはいつもニコニコしていたから…俺がもっと気にかけてあげていれば…」
チョルヒョンもそう言って俯いた。
ハニヒョンも同様に後悔の言葉を口にする。
俺達は、いつも後悔してばかりだ。
Aのことも、ジュナのことも…。
ヒョン達や俺は、情けなくも後悔の言葉をブツブツと口にして俯くばかりだ。
そんな俺達に、
「うるさい、黙って。」
そう言葉を投げたのは、メンバーでも、ナムジュン氏でもなく、ユンギさんでもなかった。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2023年7月10日 21時
