だから、言ったじゃん。Ⅶ (ページ35)

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285.焦りページ35

▽ソナ

アイドルに憧れを抱いていた。
だけど、私は特別容姿が良いわけでも、歌がうまいわけでも、ダンスが上手というわけでもなかった。

憧れは憧れで終わることが多い世の中。

たまたまウジン氏に出会い、デビュー曲はスーパーアイドルBTSのSUGAさんにかいてもらった。

先輩ヨジャアイドルに意地悪された時、さり気なくSUGAさん達がかばってくれた。
そんな事があって、私は"特別"なんだって思うようになった。

BTSの控室に自由に出入りして、

「あの子、新人のくせに何よ！」

「大して可愛くないくせに」

美人と言われているアイドルや可愛いと言われているアイドル達が私に嫉妬するたびに気分が良くなった。

劣等感が優越感になった。

あの子達はBTSのメンバーに相手にもされていないのに、私はオッパと呼び、彼らと親しくしている。

嫌だったコンプレックスありまくりの顔も、あまり上手じゃない歌やダンスも、私の"個性"で私は"特別"なんだ。

ウジン氏にスカウトされた時に、

「君は可もなく不可もなく普通だね。」

と言われたことなんてすっかり忘れていた。

すべてが順風満帆で思い通りで、私は幸せになれると確信していたんだ。

BTSのスタッフにあの女が入るまでは…。
あの女は常にシュガオッパの傍に居て、仲良く仕事している。
オッパが彼女を見る目は見たことがないほど愛情に溢れていて優しい。
他のオッパ達も優しい目で彼女を見ていた。
私が仲良くなれなかったテヒョンやジミンやジョングクとも仲が良い。
ただのスタッフのくせに！

そして、あの女がスタッフになって暫くしたら、今まで気にかけてくれていたオッパ達が私を気にかけてくれなくなった。
私は彼らの眼中にも入ってない。

なんで？
きっとあの女がなにか言ったに違いないわ。

腐れ縁のアイツに連絡を取り、あの女を潰して欲しいと願い出た。
アイツは悪い事も金さえ払えばやってくれるから。
私が輝かしい世界で生きて行く中、アイツは生きて行くのに精一杯の世界で生きていた。
私はアイツに邪魔者を消してもらい、謝礼を渡す。
そんなこと、今までだってあったもの。

スタッフとは言え、一般人であるあの女を潰すことくらい全然大変だとは思わなかった。
あの女がいなくなれば、きっとオッパ達は以前のように私を可愛がってくれるって確信していたの。

アイツがグズグズしてるから。
オッパ達に警告されてしまった。

早くあの女を潰さなきゃ。

…