だから、言ったじゃん。Ⅶ (ページ34)

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284.手法を変えて。ページ34

▽実行犯X

「おかしい。」

一言呟く。

すぐに決着がつくはずだった。
業者であろうとマンションに入れないなんてこと、今までなかったし、ターゲットは一般人だと言うから油断した。
空のダンボールが送られてきて警戒されたのか？
いや素人の一般人が空のダンボールの意味がわかるわけない。

ここ数日、ターゲットらしい人物はあのマンションに出入りしていない。
見逃しているのか？
それとも、そもそもあのマンションに居ないのか…。
こちらの動向がバレているとは考えにくいが…。

ソナの要望を叶えるためにここ最近はずっとマンションにはりこんでいたが、ターゲットらしき女は捕まえられず。
いい加減、次の手を考えなきゃなぁ。と思っていたところにソナからの呼び出しがあった。

「ねぇ！早くしてよ！」

バンとテーブルを叩いてソナが言った。
個室の居酒屋で周りに聞かれないとは言え、態度が悪いな。
彼女はとうとうBTSのメンバーから警告を受けたらしい。
"君は特別じゃない"なんて、わかりきった事を言われて激昂したみたいだ。
スーパーアイドルからしたら、デビュー曲をちょろっと世話したくらいの人間なんて沢山いるだろうし、ソナは輝けるものがないっていう珍しいアイドルで、普通ならアイドルデビューなんて出来るようなヤツじゃない。
腐れ縁じゃなきゃ、俺だって相手にしないようなヤツなのに、何を勘違いしたんだか。

「絶対に許せない。あの女がオッパ達になにか言ったんだ。」

ブツブツ言うソナを前に、

「その女、写真とかねーの？」

と聞けば、

「ないわよ。撮らせないのよ」

と睨まれた。

「じゃあ、どうやってターゲットだってわかるんだよっ。」

「メンバーが、あの女の傍にはBTSのメンバーがいるわ。彼らを見張れば…」

ん〜、確かにソレが確実か。

「明日、このテレビ局にBTSが来るから…」

ソナに彼らの動向を聞き、作戦を練る。
多分、チャンスは一度。

「これ、失敗したら、俺は手を引くからな。」

そう言えば、ソナは目を吊り上げ、

「絶対に成功させなさいよっ！」

そう叫んだ。
腐れ縁とは言え、コイツなぁ。
運良く芸能人になったから、色々活用できるかと思ったんだが、人脈もないし、意外に使えねぇし。
これが終わったらコイツとの関係も終わりにしたほうがいいかもしれないな。

…