だから、言ったじゃん。Ⅶ (ページ15)

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265.情報元ページ15

▽

何かに巻き込まれたのか、と思った。
居るわけがない私のストーカーだとか？
もしくは、兄達のグループのサセンだとか？
こちらのほうが現実的。
それにしては、昼間から動くなんて大胆だな。
なんて、冷静になろうと思考を巡らせる。

私を路地に引き込んだ人はすぐに私を抱きしめた。
その腕の感触は知っているような、この人の匂いも限りなく知っているような…

「…A。」

耳元で声をかけられて、いつの間にか体に入っていた力が抜けた。

「…ジスか。吃驚したよ。」

そう呟いたら、私の肩に彼は額を付けた。

「ん、ごめん。」

と謝る彼はいつもの元気がない。
とりあえず、誰かに見られる前にと、

「ほら、離れて。」

と告げれば、

「イヤだ。」

と即答されてしまった。
まぁ、キャップを被り、マスクをしている彼は、SEVENTEENのジョシュアには見えないし、幸いにもここに人は居ないけど、どこで誰に見られるかわからないんだから危険だ。

「今日、家に行って良い？」

そう聞いてくるジス。

「明日休みなの？」

「違う。けど、Aに聞きたいことがある。今、時間ないし…」

聞きたいこと、ねぇ。
もしかして、さっきジョンウとカフェに居たのを見られていたのかな？
まぁ、暗い部屋で待たれるよりは訪問の許可をとってくれるほうがありがたい。
ジスは仕事の途中？これから仕事？
わからないけれど私も仕事があるし、夜、彼がうちに訪問することで話をつけ、彼とはそこでわかれた。

▽

なるべく早くとは言っていたけど、彼は夕方家に来た。
本当、早いな。
聞きたいことがあるとか言っていたはずの彼は私から離れない。

「…ジス？」

「もうちょっと。もうちょっとだけ、こうしてて。」

彼はそう呟いて、ソファに座り、私をずっと抱きしめている。
家に来てからずっと…仕方ないので、声をかける。

「ジス、聞きたいことって何？」

「今日…Aがカフェで…」

ぽつりぽつりと話し出すジス。
やっぱり、ジスは私がジョンウとカフェに居たのを見たらしい。

「浮気は疑ってないけど、彼は誰？」

そう聞くジスは不安げで…。
天下のSEVENTEENのジョシュアなのに、ね。

「彼はジョンウ、シアの先輩で私の情報元なの。」

そう話せば、

「情報元…」

ジスはホッとしたようにそう呟く。

「うん。彼は業界に明るいから…」

スタッフとして円滑に仕事をするためには、信用できる情報元が必要だと話せば、ジスはやっと私から離れた。

…