だから、言ったじゃん

46.貴女は今幸せですか？ ページ46

▽THE8



Aさんが消えてから、一年。
僕達は、というか、ジフニヒョンと僕以外のメンバーは、自分の言動を反省したみたい。
Aさんとの件を教訓に、"発言には気をつけること"を肝に命じているようだ。
最低限、人として、駄目なことは、いくら人気のあるアイドルでも、やっちゃいけない。
親しき仲にも礼儀ありだしね。
ジフニヒョンは、"人として成長しなきゃ駄目"って言っていたけど、ホント、その通り。
時間が僕達を元に戻してくれて、Aさんが居た時のような、仲の良い、楽しい雰囲気が戻って来た。
シュアヒョンだけは、ちょっと違うけど。

ただ、彼女が消えてからずっと、気にはなっていたんだ。
あの時、彼女はとても憔悴していたから。
もしかしたら、最悪…。
まぁ、最悪の事態になっていたら、彼女の居場所を知っているらしいマネヒョンは、何か言ったり、態度がおかしくなるだろうから、とりあえずは、大丈夫そうとは思いつつ、安心はできなかった。
彼女の動向を探ることは、良くないだろうから、出来なかった。




偶にある97'sの食事会で、BTSのジョングクがご機嫌だった。
ユンギさんと"ヌナ"が帰ってきたと、彼は言う。

「グクがヌナなんて呼ぶ人、居たっけ？」

僕が首を傾げて、聞けば、

「ユンギヒョンの妹でウチのスタッフなんだ。とっても可愛くて、あの人は癒やしだよ。」

嬉しそうに笑って言う彼。
そう、ユンギさんの身内なんだ。
だから、人見知りのグクがこんなに懐いているんだね。
ヌナ、ユンギさんの妹なんて知らなかったから、ソクミナとミンギュは、その人について、グクに聞いていた。

「うん、一年くらい前に来てね、ホント、ヌナは癒やしだよ。」

そう、ヌナのことを話すグク。

「一年前…」

思わず、僕は呟いた。
何故か、彼女が思い浮かんだ。
いつも優しくて、可愛いかった、Aさん。

話の中のグクの癒やしになっている"ヌナ"は、とても可愛くて、優しい人らしい。
ミンギュとソクミナは、凄く羨ましがっていた。
楽しく食事して、解散になった時、グクにこっそり、

「ねぇ、グク。ユンギさんの妹の名前は？」

と、聞いてみた。

「A。ミン・Aっていうんだ。」

そう答える彼。

「そっか。うん、ありがとう。」

僕は、驚きつつも、安心した。
Aさんは、ユンギさんの妹だったんだ。
グクの話を聞く限り、彼女は、今幸せに楽しく過ごしているんだね。
後で、ジフニヒョンだけに教えよう。





…

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