だから、言ったじゃん

29.現実を知る ページ29

▽SEUNGKWAN





「いくらヌナが美人だからって、嫉妬は醜いよ？」

Aがヌナに嫉妬なんてしてないのは知ってた。
醜いのはむしろ、僕の心の方で、僕がヌナに嫉妬していた。
ヌナ、Aに気にしてもらってるんだもん。
毎日、必ず一回はAに名前呼ばれてるし、一緒にいるし。
Aは僕達の、なのに、なんでヌナが彼女と一緒にいるの？
他の、特に女性スタッフを連れている時のAは、僕達に近づかない。
僕達のことを考えてなんだろうけど、そう言うのは、マネヒョンにやらせて欲しかった。

Aが居るだけで安心するんだからさ。
マネヒョンより、優良なんだよ？

だから、決して、Aを追い出したいだとか、要らないだとか、思っていたわけじゃないんだ。

傍にいて欲しくて。
僕を見て欲しくて。

他の誰かにとられたくなかったのに…。

ジフニヒョンに

「スングァナ、ひねくれ者になりすぎると、大事なもの、無くすぞ。」

そう言われたけど、

「何言ってるの？僕は素直だよ。」

なんて、返して…。
まさか、ヒョンの言う通りになるなんて…。

僕はただ、かまって欲しかっただけなんだ。

そう言いたいのに、Aは居ない。

会社の彼女のデスクになら、何か残ってるかなって。
僕は行き詰まると、彼女のデスクで息抜きしていたから。

「スングァンさん、みんなには内緒ですよ。」

って、彼女は、ちょっとしたお菓子とかくれて、少し話して…それだけで僕は心が軽くなったのに…。

でも、会社の彼女のデスクには、彼女の痕跡はなにも、ひとつも無かった。

"あぁ、辞めちゃったんだ。"

って、現実が突きつけられた。

彼女のデスク、行かなきゃ良かった。
そしたら、まだ、戻ってくるかも…って、夢が見られたのに。





…

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