だから、言ったじゃん

28.事なかれ主義 ページ28

▽VERNON




特に何も考えていなかった。

メンバーが13人も居るから、面倒くさくて、多い方の意見に乗るのが通常。
俺は歌って、踊って、SEVENTEENとして、最高のパフォーマンスができれば他はなんでもいいんだ。

それにヒョン達が居るから、特に自分が何かを考えてすることなんてなかったし、なんだって、良いし。
なんていうの？事なかれ主義だったんだ。

ミョンホヒョンには、見抜かれていて、

「ボノナ、良くないよ？」

って、言われたこともある。
だけどさ、今まで、特に何事もなかったし、押し通したいこともなかったから。
自分で色々考えるのは、面倒だし、失敗して、ヒョン達に何か言われるのも、面倒だった。

クプスヒョンとか？
リーダーズが、SEVENTEENのパフォーマンス以外のことは考えてくれるし？
マンネラインに入る自分が、自分から何かをすることなんてないって思っていた。

何も考えずにヒョン達の意見に乗ったら、まさか、Aが居なくなるなんて思わなかった。

え、あれ？
なんで？
なんでこんなことになってるの？

Aが居なくなって混乱するメンバー。
だって、今まで一度だって、現場にAが居なかったことなんてないし。
有給消化後、退職ってなに？
え、辞めるの？

なんで？どうして？がぐるぐる回る。

「僕達は、Aに捨てられたの？」

ジュニヒョンがこぼした言葉。
え、そうなの？
メンバーをみれば、皆、悲壮な顔をしている。
Aも今まで、一緒に頑張ってきたんだ。
なのに、なんで？

「…그러니까 말했잖아(だから言ったじゃん)」

ミョンホヒョンの呟きが耳に痛かった。




それからは、皆、Aが居ない日常に少しずつ、慣れていった。
居ないものは、もう、どうしようもない。

カメラのないところはメンバーがギスギスして。
皆が集まれば、わいわいと楽しかった寮のリビングも、ただ、ただ、静かで。

シュアヒョンは、偶に泣いているみたい。
彼は精神的にかなり疲弊していた。
そうだよね。
Aのこと、本気だったみたいだし。

Aに戻ってきて欲しいけど、でも、どうしたら戻ってきてくれるのか、わからないし。

今になって、事なかれ主義だったことが悔やまれる。
俺は、Aの味方をしたって良かったんだ。
と、言うか、そうすべき、だったんだ。





…

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