だから、言ったじゃん

25.悩むことさえも ページ25

▽セヒョン
(SEVENTEENマネージャー)




今までこつこつと積み上げてきたものを失うのはあっという間というか、あっさり、というか。

俺自身も悪かったから、メンバーばかりを責められない。
男性アイドルグループの若い女マネージャーっていうだけで、Aには沢山の悪意が向けられた。
口さがない、下品なスタッフは、何処にでもいた。
年齢を重ねた女性なら、多分、上手くかわせただろうが、Aはまだまだ若輩に入る年齢で…。
SEVENTEENが気に食わない奴らは主に悪口を、SEVENTEENに近づきたい奴らは、ピンポイントでAに口撃を仕掛けていたからな。
彼女は言わば、SEVENTEENを守る盾だった。
本当は俺が、やらなきゃ行けないところを、彼女が引き受けてくれたわけだ。
若輩者を口撃したほうが相手の気が済むだろうって。

まさか、メンバーまでもが、彼女を口撃するなんて、思っても見なかったけど、な。
彼氏であるジョシュアくらいは、Aを擁護するだろうと、思っていたのが、間違いだった。
彼女は、あの時点でかなり疲弊していたのに…。

メンバーは知らないが、彼女には他の事務所からちょいちょいちょっかいは入っていた。
すべて断っていたのは、SEVENTEENがまだトップアイドルになっていなかったから。
今、SEVENTEENはトップアイドルになった。
彼らの手を離すには絶好の機会だったんだ。
ここで、あの件がなければ、まだ、彼女はここにいたはず…。
話が来ているのが、BTSじゃなければ、まだ、彼女はここに居たはずなんだ。

あの件を周りのスタッフから聞いた時に"終わった"と思った。
だって、彼女は"わかりました"と答え、ジフナやミョンホの言葉を聞かなかったと。
俺は、彼女の手が離れる…そう絶望した。

もう、一緒にSEVENTEENについて、悩むことさえも許されない。

だって、彼女は、"ミン・A"。
兄の元へ戻ったのなら、もう、こちらには一切関わらないだろう。

彼女の移籍条件は、"SEVENTEENの邪魔をしないこと"。
まだ情があったんだな。と思う。

「今までお世話になりました。"セヒョンさん"。」

そう、寂しげに笑ったA。
もう、会えないのかもしれないし、会ったとしても、オッパとは呼んでもらえないんだろう。
Aに、彼奴等のことは頼まれたから、最後まで責任を持ってみるつもりではある。
ただ、自分もまだ喪失感が半端なくて、余裕がないのが現実だ。

彼奴等のことも、考えなきゃいけないのにな。




…

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