11.失って初めて気づく ページ11
▽S.COUPS
Aはいつだって、俺たちを支えてきた。
業界スタッフは、良い人ばかりじゃない。
俺達に悪態をつく人もいるわけで、そういう人間は、概ね、弱者に意地悪するんだ。
成人男性であるマネヒョンに言うんじゃなくて、女性であるAに。
Aがスカートを履けば、"周りに媚び売ってる"もしくは、"性で仕事をしている"なんて、酷いことをニヤニヤしながら言うんだ。
彼女は、それを、笑顔で、
「注目は私ではなくSEVENTEENにお願いします。」
なんて返していた。
"生意気"だとか、面と向かって言われているのを俺は知っていた。
知っていたのに、何もしなかった。
他のアイドルに言われた。
「SEVENTEENの、あの女のスタッフさん、良いよね〜。アイドルに向けられる悪意全部引き受けてくれてるでしょ?」
って。
最初、意味がわからなかった。
でも、そういえば、俺達は、スタッフから意地の悪いことをされたことがない。
いや、されていたんだ。本当は。
ただ、俺らに届かないように、前もって、Aが盾になり、防いでくれていたんだ。
彼女が居なくなる前に、俺はわかっていたのに…。
▽
Aが居なくなって、俺達は混乱し、使い物にならなくなった。
だから、俺達は、社長室に呼ばれた。
「君達さ、自分達で自分達の盾を壊したんだから、今後は自分達で、自分を守りなよ。」
と、社長に言われた。
盾?
彼女は俺達の盾だったのか?
壊した?
俺達はAを壊したのか?
でも、このまま、彼女を失うのは、俺達にとって、大ダメージだから、
「それは…はい。でも彼女を失って初めて僕達は彼女の重要性に気づいて…」
そう、口にする。
メンバーも頷いたり、縋るような目で社長を見る。
「重要性じゃなくて"汎用性"でしょ?彼女、使えたもんね。業界の悪意を一手に引き受けてくれてさ。でもさ、"要らない"って自分達で彼女に言ったんでしょ?」
社長は、ため息をついた。
社長の言葉に俺達は息を呑む。
「本当、あんな使える子いないよね。スタッフの調整もしてくれてさ、君達に悪意あるスタッフの排除も上手だったし…。あぁ、マネージャーが言ってることは本当だから。彼女に関しては箝口令が引かれてる。誰も君達に彼女のことは話さないよ。じゃあ、そう言うことで。」
社長は一気にそう言うと、手を振った。
マネヒョンが俺達に退室を促す。
ドアを出る前、
「あ、仕事はちゃんとしてね。」
社長の言葉が俺達の背を押した。
…
2290人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちな(プロフ) - うかさん» コメント&応援ありがとうございます。短編でサクッとのつもりだったのですが、収まりきらないかも…と現在、かなり焦りを感じています。更新、頑張ります! (2022年12月25日 14時) (レス) @page47 id: 0b8c1c72f4 (このIDを非表示/違反報告)
うか(プロフ) - いつも展開にドキドキしながら更新を楽しみにしてます!これからも頑張ってください♡ (2022年12月25日 10時) (レス) @page46 id: df1bdfa7f4 (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - 陽さん» はじめまして。コメントありがとうございます。毎日お仕事お疲れ様です。このお話が少しでも癒やし?になっていれば、嬉しいです。頑張ります。 (2022年12月22日 21時) (レス) id: 0b8c1c72f4 (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - はじめまして。コメント失礼致します。毎日毎日更新を楽しみに待っています!!仕事終わって更新されてないか通知を見て更新されていたらテンションが上がってしまう位大好きなお話です!!これからも頑張ってください❤︎ (2022年12月22日 20時) (レス) @page29 id: a3b8543b1b (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - fuyu0526さん» はじめまして。コメントありがとうございます。楽しんでいただいているようで嬉しいです。更新、頑張ります! (2022年12月21日 21時) (レス) id: 0b8c1c72f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちな | 作成日時:2022年12月19日 19時