格の違い JM ページ11
そんな僕をAは、嬉しそうに見つめるから。
基本、彼女は僕にしか話しかけないしね。
まぁ、Aの正体がバレても僕は構わないし、Aも別に何ともないだろう。
聞いた相手が恐れ慄くだけで。
「お綺麗な方ですね。是非お近づきになりたい。私は…」
あ、こいつはあれだ。
僕の言葉に引かない、常識のない、アホだ。
僕が肩を抱いているAの手を掴もうとしているし。
君の手をAが取るわけないじゃないか。
Aは僕の腰に手を回し抱きつき、僕に甘えるように、
「ジミナ、私、疲れちゃった。」
そっと僕の耳元で言う。
Aは、こういう時もスマートだ。
「うん、じゃあ、そろそろ帰ろうか。」
あくまで、主導権を僕に持たせてくれる彼女に感謝しながら、彼女の腰に手を回し、足を出口へと向けようとした。
チラリと先程のアホを見れば、Aに無視されたのがこたえたのか、悔しげに拳を握っていた。
「あら?パク様、もうお帰りですの?」
男のパートナーのはずの女は僕の腕を掴んで、言った。
上目遣いで僕を見上げているが、化粧おばけなその女は自分に自信があるのか、
はたまたただのアホなのか。
「私、パク様とお話したくて…」
自分の方へ僕を引っ張る女にため息をつきたくなった。
とりあえず、腕を振って、女の手を外した。
「僕は君と話すことはないよ。」
存外低い声が出た。
A以外の女に興味ないし。
「貴女、パク様を独り占めして、何様なの?」
ビシッとAを指さして言う女。
その行動に、女を睨んでしまうのは、仕方ないよね。
「ふふ。」
指をさされているのに、Aは、笑った。
Aの所作に周りにいた人達がこちらを見つめていた。
Aは魅惑的に笑いながら、人差し指を唇に当て、
「私はパク・ジミンの、婚約者様だよ。」
声を荒げることなく、静かに告げた。
こちらを見つめていた人達が息を呑んだ。
女の、格の違い、なのかな。
Aの余裕に、僕達を足止めした女は絶句している。
「行こうか。」
そうAに言えば、彼女は僕の腕に自分の腕を絡ませた。
そのまま、今度こそ、僕達は、会場をあとにした。
…
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作者名:ちな | 作成日時:2021年10月8日 18時