会いたい ページ26
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「お嬢、起きて」
真夜中の病室で、担当医は、声を潜めて私に言った。
目を開け、担当医を見れば、見たことのある男。
「…ソユ？」
彼の名を呟けば、ニコリとイム・ソユは笑った。
「お嬢は、交通事故に遭い、チェ・ジフンに攫われました。覚えてますか？」
ソユはそう言って、私の頭を撫でた。
「交通事故？」
「はい、ジフンは、貴女に、記憶が混乱させる薬を投薬させました。お祖母様の指示ですぐ、俺がここに来ましたので、2，3回位ですが、頭痛は、大丈夫ですか？」
「ん、前よりはっきりしてる。」
「それは、良かったです。睡眠をしっかりととっているので、回復は早いかと。」
ソユはそう言って水差しを私に渡す。
「ジフンの狙いは何？」
水差しの水を飲みながら、そう聞けば、
「貴女かと。」
ソユは、即答した。
「私？私が持っている何かじゃなくて？」
首を傾げて問えば、ソユは、苦笑いした。
「ジフンは、ずっとお嬢が欲しいと言っていました。刷り込みし、貴女に、勘違いさせ、婚約者になろうと…。結構強い薬使われてましたが、よく流されませんでしたね。」
ソユの言葉に、小指の、ジミナに貰ったリングを触る。
「うん、ヤバかった。色々。」
きっと、ジミナが居なければ、流されてた。
「今後のことを話します。」
ソユは、そう言うと、私が家に帰れるように、お祖母様が尽力してくれることになったと話した。
「お嬢、あと少しの辛抱です。もう少しだけ、頑張ってください。」
ソユは、そう言うと、病室を出て行った。
早く帰りたい。
ジミナに会いたい。
みんなに会いたい。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2021年9月18日 13時
