意図せず ページ28
▼DINO
「SEVENTEENのディノさんですよね？」
テレビ局内を一人で歩いていたら、そう声をかけられた。
視線を向ければ、同年代の男の子。
デビュー前の研修かな。
首にかかる見学者のIDは、事務所の名が刻まれている。
「俺、SEVENTEENさんに憧れているんです。」
僕はこうやってたまに、練習生に声をかけられる、メンバーの中で一番、声をかけやすいのかもしれない。
ヒョン達はオーラがあって気安く話しかけられないもんね。
僕には優しいヒョン達なんだけども。
「そうなんですね。」
頷き、そう言えば、彼はニコニコとSEVENTEENの魅力を語り始める。
素直に憧れている、と口に出す彼はまだ擦れていなくて、頑張って欲しいな。なんて思うんだ。
だってこの世界は必ず努力が報われるわけじゃないから。
僕はたまたま運が良かった。
だって、ヒョン達に出会えたんだから。
「ディノヤ。」
僕の後ろから聞き慣れたヒョンの声がして、練習生を見れば、ピキリと固まっていた。
「探したよ？」
Aヒョンは、そう言うと僕の頭を撫でた。
もう衣装を着ている彼は、髪をオールバックに整え、ブラックスーツにコートを肩に羽織っている。
さながら、何処かのモデルのようだ。
あぁ。今日もヒョンは格好良い。
「うん、ごめんね。ヒョン」
僕がそう言うと、ヒョンは、自分のコートを僕に羽織らせ、
「身体が冷えちゃうよ。」
と、呟く。
そこで、練習生に気づいたらしいヒョンは、首を傾げた。
練習生は、一言も言葉がでないようで、でも、キラキラした目を、ヒョンにむけていた。
彼がデビュー間近の練習生で僕達のファンだって、見ればわかる。
SEVENTEENのAとして、スイッチの入ったヒョンはゆるく笑って、
「頑張ってね。」
と、練習生の彼に声を一言かけ、僕を促した。
ヒョンの一言に、きっと彼は、頑張るだろう。
同じステージに立つのも時間の問題かもしれない。
ヒョンは、意図せず、こうやって、ファンを増やしているんだ。
ファンサしているつもりのヒョンを見て、ファンになる人も多い。
だって、ファンなら、ヒョンの瞳に映ることができるから。
「心配だから、誰かと一緒に行動して。もしくは、僕に声かけて。」
並んで歩きながら、ヒョンが言う。
「はい。」
そう返事しながら、苦笑いする。
僕だって、もう、いい大人なのに。
でも、ヒョンが一緒に居てくれるのは捨てがたい。
もう暫くは、マンネとして、ヒョンに甘えてしまおうか。
…
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ちな(プロフ) - あさん» 誤字指摘ありがとうございます。お恥ずかしい限りです。訂正しました。 (2022年3月12日 21時) (
レス) id: 0b8c1c72f4 (このIDを非表示/違反報告)
あ - ジュノって誰ですか笑笑 (2022年3月12日 20時) (レス) @page9 id: bc036b23c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちな
| 作成日時：2022年3月10日 15時
